医療保険での疾患別リハビリテーション(以下、リハ)が上限日数を超えた患者は、介護保険での維持期リハに移行する。19年3月までは医療保険での維持期リハが認められていた。医療費削減の一環としてのこの施策は、現場の要望と体制整備の不備から移行期限の延長が繰り返されてきたが、不充分な体制のまま強行されてしまった。
介護保険で維持期リハを続けるために利用できるサービスは以下のとおり。①通所リハ(デイケア)②訪問リハ③通所介護(デイサービス)でのリハ④訪問看護によるリハ。
①②は医療機関が行うものであり、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)が医師の指示のもと実施する。事業所の絶対数が少なく、特に都市部以外では利用のチャンスが乏しい。③は通所介護事業所で機能訓練指導員を配置したところが行い、医師による直接の指示は必須ではない。また、指導員の要件はPT、OT、ST以外に看護職員、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師が認められていて、リハの専門知識を持たないケースも多い。
維持期リハは急性期や回復期と異なり、機能回復よりも、在宅生活をいかに快適に過ごすかという生活リハの色彩が濃い。この点において①は日常生活の場を離れた場所で行われ、機能回復の延長となる嫌いがある。②は実施する医療機関の医師が指示しなければならず、在宅療養の主治医でない場合は生活が見えないハンディを背負うし、在宅主治医の意向が反映されないことが危惧される。③は前述の通り、指導員の資格によるレベルの差が大きいし、努力して療法士を確保しても報酬上の見返りはない。リハスタッフを持たない在宅主治医には④が比較的使いやすいが、療法士に対し直接指示するための知識、経験がないと苦しい立場になることもある。また、区分支給限度額の枠により、比較的高価な訪問看護はケアマネジャーから敬遠されがちだ。
生活リハに意欲を持つ療法士は少数派であるのが現実で、ここを改善するためには、プロとしてやり甲斐の持てる処遇改善が必要であり、充分な受け皿が整備されるまでは、地域事情に合わせて医療保険と介護保険の選択を可能にする等柔軟な対応が望まれる。
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