コミュニケーション委員会 診療・検査体制整備で苦慮 地域での情報共有のあり方が課題  PDF

 協会は10月31日、2020年度第1回コミュニケーション委員会を開催。地区委員17人(内ネット参加8人)、協会9人が出席した。地区医師会では、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)のPCR検査実施医療機関の実態等を調査・把握しながら、今冬の発熱患者に対する診療体制整備に向けて動きだしている中、「診療報酬上の臨時的取扱い」「医療政策」をテーマに意見交換を行った。

 開会に際し鈴木理事長は「今重要な課題は、新型コロナとインフルエンザの同時感染・流行に対して、医療崩壊を招かないための体制をどうつくるか、医療機関や医療従事者をどう守るかだ」と述べた。
 京都府は診療・検査医療機関を非公表としているが、地区医師会内での診療・検査医療機関の共有は地区医師会の判断としている。この共有に関して、地区医師会内で意見が分かれている。ある地区では「自院の患者から発熱に関する相談を受けた場合に診療・検査医療機関を共有していなければ、患者に紹介できない」との意見に対して「現状のまま共有をすれば、診療・検査医療機関に発熱患者が殺到し、通常の診療に影響が出るのではないか」との意見も出ていると報告された。
 協会は、診療・検査医療機関の情報をどのように共有していくのかが一番の課題とし「京都府に対して、診療・検査医療機関等の情報は地区医師会、地域の医療機関と共有する、府民に公表するにはどのような条件をクリアする必要があるのか要望を出している。京都府の回答は、現時点では公表はせず、地区医師会との情報共有は慎重に調整しているとのことだ」と述べた。

公的発熱外来を求める声も多く

 地区医師会では会員医療機関に対して京都府・京都市との集合契約、診療・検査医療機関の指定に関する状況等のアンケートを行っている。アンケートを実施した地区医師会から「結果として診療・検査医療機関の指定を受ける医療機関はほとんどなく、指定を受けたとしても自院の患者以外は診ないとの意見が多い。やはり公的な発熱外来が必要だ」との発言があった。
 協会からは会員(内科、耳鼻咽喉科、小児科を標榜)に実施したアンケートを基に「診療・検査医療機関の指定を受けるとの回答は3割弱。公的発熱外来の設置を求める声が多い。一般診療所では空間的、時間的な動線の確保が難しく、公的発熱外来は必要と考えている。地区医師会から医師を派遣することで協力体制が構築できるのではないか。京都府にはリーダーシップを取って進めてほしい」と述べた。
 その他にも、委員からは「延期となっていた各種健診が10月に集中し、例年なら11月から開始していたインフルエンザの予防接種も10月から開始となり、1カ月にこれだけの公的業務等が重なると立ち行かなくなる。現場の医療機関は疲弊しきっており、現場は誰が守ってくれるのか」等の意見が出された。

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