近畿反核医師懇談会は8月23日、目加田説子氏(中央大学総合政策学部教授)による講演「“ESG投資”で核なき地球へ」を大阪で開催。昨年京都で開催した第30回反核医師のつどいで扱った金融機関に核関連企業への投融資をやめさせる「Don’t Bank on the Bomb」の一環として企画し、オンライン参加も含め37人が参加した。 目加田氏は、非人道兵器をなくす手段としての「ESG投資」について解説。ESGは、環境問題への意識の高まりから2006年に国連が提唱した「責任投資原則」の中で、投資にあたって意思決定プロセスに組み込むべきとされた環境(environment)、社会(social)、企業統治(governance)の3課題。このESG投資が世界に広がり、環境破壊や非人道的兵器の製造については、当事者企業だけでなく投融資する金融機関にも厳しい目が注がれるようになっている。非人道兵器についてはESGを通してクラスター爆弾を製造する企業に投融資をしてはいけないという運動の成果が画期となった。この運動は核兵器製造についても同様で、自分のお金が吟味せずに使われていないか、行動を起こして金融機関の行動を変えることができると強調した。
目加田氏はまた、コロナ禍で、何が人の生命や財産を奪っているのか見つめなおすべきと強調。米・中・ロはかつてない規模で軍事費支出を増やしており、日本も武器に多額をつぎ込んでいる。核に依存しない世界に向けて議論を活性化させていく必要があり、そうでないと企業への圧力にならないとした。
また、近畿反核医師懇談会が実施した全国金融機関アンケート結果を報告。調査は6月から8月にかけて行い、銀行・生命保険会社ら200社に公開質問状を送付し、期日までに23社が回答。核兵器関連の製造にかかわる企業への投融資に関して、「与信供与、投資ともにしていない」が15社、「融資は核兵器に使われないことを確認した上で与信供与、投資は問題ない」が3社、「特別なポリシーはない」が1社であった。同会は、回答内容を精査し働きかけを行っていくとともに、回答のなかった企業にも働きかけを行っていく。
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