協会も参加する子ども医療京都ネットは9月3日、京都市に「子ども施策に係る財政目的の見直しをしないよう求める要請」を提出した。これは、同市が財政の危機的状況にあるとの認識から「持続可能な行財政審議会」を立ち上げ、歳入・歳出両面の改善策を検討しており、子どもの医療関連施策でも国の義務付けのない歳出として、学童う歯対策(小学生のむし歯治療無料)や子ども医療費、ひとり親家庭等医療費が見直しのリストにあげられていることから行ったもの。
特に学童う歯対策は、他政令市には例がないうえに、むし歯の治療完了率が他都市平均を下回っているとして見直しを強く迫るような議論がされている。これに対し、昨年の保団連「全国学校健診後治療調査」で、歯科健診において要受診とされた57%が未受診で、全国の3割近くの学校に口腔崩壊の子どもたちがいる可能性がある。その理由に「経済的困難」「共働き」「ひとり親家庭」などがあり、家庭と自治体が一体となった対策が求められ、大切な時期の口腔内をむし歯から守る学童う歯対策は、継続すべきと訴えた。
一方で、子ども医療費の負担(下表)は府制度が昨年拡充されたが、市として上乗せをしていないため、京都市だけ通院200円の対象が2歳までにとどっている。9月から向日市と大山崎町が制度拡充したことで、府内一遅れた水準がいよいよ際立っており、現水準は、他政令市と比べても誇れるものではないと指摘。コロナ禍で生活が苦しくなってきている中だからこそ、京都市が謳う「子育て環境日本一」を、本当の意味で実現するよう、子ども医療費の義務教育までの無料化を求めた。
向日市・大山崎町・京丹後市が制度拡充
向日市と大山崎町が、9月診療分から通院の助成を拡充した。これまで小学生までは月200円、中学生は月1500円であった負担を中学校卒業まで月200円とした。
また、京丹後市は8月から市民税非課税世帯の大学生等を助成対象に拡充した。条件つきながら、大学生まで対象を拡げたのは府内初となる。
京都府内の子どもの通院負担(2020年9月現在)
窓口負担がゼロ
<中学生まで>南山城村
<18歳まで>井手町・和束町・伊根町
中学生まで月200円負担(1医療機関につき)
宮津市・綾部市・亀岡市・長岡京市・向日市・大山崎町・宇治市・城陽市・八幡市・京田辺市・木津川市・宇治田原町・笠置町・精華町・与謝野町
<さらに18歳まで償還で助成あり>京丹後市(市民税非課税世帯の大学生まで拡充)・京丹波町・南丹市・久御山町
日500円負担※(3歳~中学生、2歳までは月200円負担)
※月1500円超額は償還
福知山市(ただし住民税非課税世帯の中学生までの入院・通院とも自己負担なし)
一部に月1500円負担
<小学生まで200円、中学生1500円>舞鶴市
<2歳まで200円、3歳以上1500円>京都市