新型コロナへの感染の不安大きく 難病患者の通院移送費など助成求める  PDF

 新型コロナウイルス感染症の流行時においても、難病患者の医療機関への受診は必要不可欠だ。一方で、難病を抱えていることで、新型コロナウイルス感染症にり患した場合、重症化するリスクが大きいと考えられる。そこで、NPO法人京都難病連と協会は、連名で難病患者対象の緊急アンケート(6月29日~7月15日実施)を実施。重症化に対する多くの不安の声が寄せられる結果となった。
 この調査結果に基づき、京都難病連と協会は、「新型コロナウイルス感染症での難病患者への影響にかかる対応についての要望」をとりまとめ、8月31日に京都府、9月2日に京都市に要請を行った。
 京都府は健康福祉部健康対策課疾病対策係主幹兼係長の小寺泰二氏が、京都市は保健福祉局障害保健福祉推進室社会参加推進課長の山﨑正和氏、同室担当係長の門脇孝徳氏が対応。京都難病連からは代表理事の北村正樹氏が出席した。
 実施したアンケートでは、多くの人が外出、特に公共交通機関での通院に不安を持っているとの声が寄せられたことを受け、難病患者の通院にかかる移送費の助成を要請。医療機関への通院そのものへの不安の声があることも紹介し、協会が従前より要請している公的な発熱外来の設置を求めた。
 また、「持病に対するリスクやそれに関する情報がない」「自治体の対応が見えない」「情報が入ってこない」など、情報不足による不安が吐露されていたと説明。本来であれば、難病患者への情報発信などをはじめとしたフォローは保健所が行うべきものだと考える。しかしその一方で、この間の国の政策において徹底した保健所数や体制の縮小が実施される中、保健所の人員不足や機能の弱体化が深刻であることも明らかとなったとし、人員の確保をはじめとした、保健所機能の抜本的な強化を求めた。
 さらに、新型コロナウイルス感染者へのレッテル張りや差別、阻害の問題に対し、リスクコミュニケーションの視点から、「安心して検査を受けられる、医療を受けられる」という体制構築はもちろんのこと、そうした体制を整備した、もしくは整備をしようとしていることを広く住民へ届くよう情報を発信してほしいと要請した。
 京都府は、難病患者・家族の置かれた状況について良く理解できるとし、特に保健所機能については喫緊の課題だと認識しているとした。京都市は、個別具体策など引き続き相談しながら検討していきたいと回答した。

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