協会は、京都府の福祉医療制度の拡充を求めて、8月5日に府と懇談を行い、要請書を手渡した。懇談には健康福祉部医療保険政策課の安原孝啓課長と、同課のあんしん医療推進係の能勢弘康主幹兼係長が対応。協会からは植田良樹理事と事務局が出席した。また、同内容で府議会に陳情書を提出した。
要望は、①妊婦・産婦・褥婦に対する、自己負担金無料・所得制限なし・現物給付の福祉医療制度の新設②重度心身障害児(者)医療助成制度(法別43)・重度心身障害老人健康管理事業の対象を「内部機能の障害」で身体障害者手帳3級の交付を受けた患者まで拡充③子育て支援医療費助成制度(法別45)の入院外医療の自己負担金を中学校卒業まで無料(または200円限度)に、中学校卒業まで無料がすぐに無理な場合でも、就学前までの入院外医療の自己負担金は200円限度に④2017年12月末まで難病法に係る特定医療費助成制度(法別54)の旧実施機関番号「501」に該当していたが2018年1月から制度対象外となった患者が(法別54)と同様の一部負担金で受診できるよう、福祉医療制度の新設⑤公費負担医療制度の申請に必要な医師の意見書・臨床調査票の作成費用を医科診療報酬点数表B009診療情報提供料(Ⅰ)並の金額(2500円)まで助成(患者へ還付)―の5点。
協会は同様の要望について、定期的に府と懇談の場を積み重ねてきている。とりわけ20年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、元々高リスクの人を対象としているこれらの福祉医療制度の充実は、お金の問題で受診することができないということがないようにするためにも、喫緊の課題であると言える。
府は、20年度では福祉医療制度に府の予算から70億円超を措置し、何とか今の制度を維持していると説明。コロナ禍の中でも福祉医療は大事な制度であると考えており、何とか現状制度を維持していきたいと重ねて強調した。
子育ての支援については府知事の「子育て環境日本一」というスローガンもあり、これまで月3000円上限だった中学校卒業までの入院外医療の自己負担金を、19年9月より月1500円上限へ拡充したと述べた。一方で、制度の新設・さらなる拡充には安定的な財源確保が必要であり、府や全国知事会も、国に対して子育ての医療費助成・重度の心身障害者への支援について「ナショナル・ミニマム」として全国一律の制度化を要請しており、これについては引き続き要請していくとした。
併せて、市町村にとってみると、福祉医療制度は地方単独の事業となり、国から国民健康保険の国庫負担を減額するペナルティーを課せられ、市町村財政に大きな負担となってしまう面もある。知事会では以前よりこのペナルティーの全廃を強く求めており、府も引き続き強く要請したいとした。
その他、①については国の検討会の中で不妊治療の保険適用や支援拡充が盛り込まれたと聞いているので、国の動きを注視していきたい、④⑤については部内関係課にも趣旨を伝えるとともに、⑤については引き続き国へも要望していきたい、とした。