第73回定期総会開く
協会は8月2日、第73回定期総会(第199回定時代議員会合併)を京都市内のホテルで開催した。総会は、88人(代議員64人、一般会員3人、役員21人)が出席し、2019年度活動報告と20年度活動方針、決議案を採択した。なお、当日はソーシャルディスタンス、消毒、マスクの徹底など、万全の感染防止体制で臨んだ。
19年度の活動を総括
最初に、茨木和博副理事長が19年度の活動を総括。新型コロナウイルス感染症が瞬く間に世界中に蔓延し、20年3月には日本でも感染者数が増加。緊急事態宣言の実施検討や新型インフルエンザ等対策特別措置法改定など、国の感染症への動きが慌ただしくなる中、協会は特措法改定に対する理事長談話を発表した。また、会員への緊急アンケートを実施し、感染防護にかかる医療資機材の供給、ひっ迫する医療提供体制の確保、保健所機能の強化・拡充、医療機関への公的支援など、国、京都府、京都市へ提言したことを報告した。また、診療報酬上の臨時的取扱いについても緊急提言を重ねた。
その他、「かかりつけ医登録制」について、京都選出国会議員に要請したことや、厚労省が424の公立・公的病院を25年の地域医療構想実現に向けた統合・再編対象として名指ししたことに対する抗議談話の発出など、取り組み経緯を報告した。
20年度診療報酬改定については、基本診療料と汎用技術の評価を適切に引き上げるよう求める理事長談話を発表。京都糖尿病医会との連名で「在宅時自己注射指導管理料、血糖自己測定器加算等の改善を求める要請書」をとりまとめるなど、改善を求める取り組みを行ったことを報告した。
コロナ禍以前の政策破綻は明らか
続いて、渡邉賢治副理事長が情勢を報告。新型コロナウイルス感染症は経済グローバル化を背景に猛威を振るい、なおかつ日本の新自由主義改革の歪みと矛盾を可視化した。特に新型コロナウイルス感染症流行拡大で医療提供体制崩壊の危機が叫ばれたが、国の「小さな政府」志向のもと、病床規制など医療費抑制に沿った政策が推し進められた結果であると断じた。また、新興感染症の流行拡大が起これば、最前線に立つのが保健所であるにもかかわらず、公衆衛生行政を軽視した政策によって保健所が役割を果たせない状況を憂慮。抜本的に機能の強化と拡充を求める必要があると強調した。
一方で、感染症流行により、国民皆保険制度ならではの医療のアクセスの良さなどが再注目されたと指摘し、国民皆保険制度の優位性を訴える機会だと強調した。
新たな課題に即応できる医療体制求める
情勢報告を受けて、鈴木卓理事長が20年度活動方針を提案。新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、喫緊の課題としてPCR検査の体制拡充や公的な発熱外来の設置、感染者の重症度に対応した柔軟な治療・隔離・監視病床の確保、施設基準や診療報酬上の臨時的取扱いの継続などを挙げた。
また一方で、感染症に触れることなく進められようとしている医療提供体制改革に警鐘を鳴らし、地域医療構想や公立・公的医療機関の再編統合問題、診療報酬、研修制度・専門医制度など抜本的見直しが必要だと言及。国や自治体に求めていくとした。
並行して前年度の基本方針の継続と重点化、深化も進めると提案し、承認された。(関連2面)