厚労省 改定版 「適時調査実施要領」 等を公開 適時調査再開に向け準備進む  PDF

 厚生労働省は6月8日、ホームページに「適時調査実施要領」等の2020年度改定版を掲載、公開した。適時調査実施要領は、地方厚生(支)局が適時調査を実施するための手順書(マニュアル)に当たるもので、18年度診療報酬改定後に初めてホームページ上で公開された。適時調査実施の手順のほか、適時調査の事前および当日に提出が求められる書類や、施設基準ごとにチェックすべき項目等が網羅された調査書などが含まれる。

 適時調査は、厚労大臣が定める施設基準に適合しているとして、地方厚生局長等に届出を行って診療報酬を算定する医療機関を対象に、施設基準に適合しているかどうかを確認するために地方厚生(支)局が実施するもの。毎年7月に文書で報告が求められる「定例報告」と、厚生局が医療機関に赴いて臨場で実施される「適時調査」の二つからなる。今回公開された改定版「適時調査実施要領」等によると、適時調査の基本的な実施方法に大きな変更はない。
 改定版「適時調査実施要領」等では、改定前と同様、臨場の適時調査について、重点的に調査を行う施設基準(重点施設基準)を定めているが、対象となる施設基準の入れ替えを行っている。これまで重点施設基準とされていた「機能強化加算」や「救急医療管理加算」等24件が削除されるとともに、新たに「精神科リエゾンチーム加算」「呼吸ケアチーム加算」が追加された。また20年度改定で新設された「せん妄ハイリスク患者ケア加算」「地域医療体制確保加算」「婦人科特定疾患治療管理料」「診療情報提供料Ⅲ」も重点施設基準とされた。
 さらに16年度以降に実施された臨場の適時調査において、2回連続で指摘事項がなかった重点施設基準では、その調査を省略できる取扱いが明記された。ただし入院基本料と特定入院料(入院料本体)は当該取扱いの対象から除かれているため適時調査に対応する負担が大きく軽減されるとまでは言えないが、最も注目される改定点である。
 すでに厚労省保険局医療課長が3月12日付通知「『適時調査実施要領』の改正について」を地方厚生(支)局医療課長宛に発出していたため、改定版「適時調査実施要領」等は、3月時点で完成していたということになる。しかし本来、診療報酬改定年度には5月から再開される適時調査が、新型コロナウイルス感染拡大の影響があり再開されずに至っていた。今回、改定版「適時調査実施要領」等が公開されたことからも、「適時調査」再開に向け、確実に準備が進められていることが伺える。
 厚労省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/index.html)の検索ボタンに「適時調査実施要領」と入力し、サイト内検索をしていただくと、当該資料をご覧いただける。

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