2020 診療報酬 改定こうみる 2 病床削減・再編のための施設基準強化  PDF

入院 副理事長 渡邉 賢治

 今回の入院医療に係る診療報酬改定は、入院基本料等の本体の点数は全く引き上げられず、これまで同様、病床削減・再編のための施設基準の強化が進められた。
 その一つが重症度、医療・看護必要度の見直しである。評価方法が変更。認知症などが考えられる「B14診療・療養上の指示が通じる」「B15危険行動」のいずれかに該当する場合で、「A得点1点以上かつB得点3点以上」が対象から外れた。急性期一般入院料1を算定する病院では、認知症・せん妄のある患者の入院が難しくなり、地域医療を支える中小病院の一般病病床への影響が出ると考える。またB項目の10移乗、11口腔清潔、12食事摂取、13衣服の着脱は「患者の状態」と「介護の実施」を合わせて評価することになった。当該患者割合も急性期一般入院料1~6で変更された。
 二つ目はデータ提出加算。許可病床数が200床未満でも、回復期リハビリテーション病棟入院料5・6、療養病棟入院基本料にはデータ提出加算の届出が施設基準とされた。
 三つ目は地域包括ケア病棟入院基本料。許可病床数400床以上の病院は新規に届出ができなくなった。400床以上の場合、同一病院内にある一般病棟からの転棟患者割合は6割未満とされ、基準が満たない場合、「満たせない」と届け出て90%での算定になった。
 四つ目は回復期リハビリテーション病棟入院料。発症・手術等から入棟までの期間に関わる制限が削除。一方、リハビリテーション実績指数の要件が引き上げられ、入院料1は「37以上」から「40以上」、入院料3では「30以上」が「35以上」になった。また、入院料1で専任の常勤管理栄養士1人以上を配置することが義務規定へ、入院料2~6ではこれが努力義務規定に追加された。
 五つ目は短期滞在手術等基本料3について、一律点数が引き下げられた。これに対し、医師・医療従事者の働き方改革や負担軽減から、加算の引き上げや配置基準の常勤要件を緩和し要件を満たす点数が増えた。地域医療体制確保加算の新設、医師事務作業補助体制加算、看護補助者の配置や看護職員・看護補助者の夜間に関わる点数が引き上げられた。有床診療所でも一般病床初期加算が引き上げられ算定日数も14日まで延長。医師配置加算、夜間看護配置加算、看護補助配置加算が引き上げられた。
 今後も、入院基本料等、本体の点数の引き上げを求め、今進められている病床削減・編成による地域医療の崩壊を防ぐために診療報酬の面からも運動を強めていきたい。

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