協会は立憲民主党京都府連合との懇談を12月21日に開催。同党からは福山哲郎参議院議員、山本和嘉子衆議院議員(副会長)、田中健志京都府議会議員(幹事長)ら9人が参加(会長は現在空席)。協会から鈴木理事長ら11人が参加した。協会から①社会保障憲章・基本法が目指す日本と今日の医療制度改革について②政策提言2017(財源問題編)を説明して意見交換を行った。
①について渡邉副理事長が、新自由主義改革による国づくりに対抗する構想としての「新しい福祉国家構想」と、その実現に不可欠なのが「社会保障憲章・基本法」であると語り、従来の貧弱な社会保障観を脱して世界標準を実現すべきとした。とりわけ医療・介護については、全国民対象かつ統一制度であり個人単位であること、財政責任は国が負うこと、給付管理・給付を受ける権利の保護がなされていること、一部負担金・利用料は無料であることを原則とすべきと説明した。②について吉中理事が、この10年で平均給与は上がっているようにみえるが、総額では36兆円のマイナスであることを示し、この賃金格差の広がりを正して国民所得を引き上げることが財源確保の基本であると説明。その上で社会保障財源として消費税のこれ以上の増税は行わず、見直すべきは所得税、法人税、金融取引であるとして具体的試算を説明した。
協会提案に対して福山氏は、「現状認識にあまり違いはない」としつつ、協会の新自由主義改革の捉え方が橋本政権から一連のものとして批判していることについて、2000年代初頭から2010年にかけての円高進行、中国市場の拡大により国際競争力維持のため企業が海外に出ていかざるをえない情勢のもとでの法人税引き下げは一定理解すべきとの考えを述べた。しかし、安倍政権において円安政策に舵を切り、海外から還ってきている企業がある現状において、法人税が低いままであることに合理性はないと断じた。
さらに、社会保障のあるべき水準がユニバーサルサービスであり普遍的であるべきだという点にも異論なく、所得のあるなしで切っていくのは合理的ではないと述べた。
財源についても、社会保障財源を消費税増税か否かの二者択一に拠って立たないものとし、再分配機能を強化する中で財源確保すべきとの認識と、その中で所得税、法人税、金融取引関連税制の見直しをやらなければならない点も共通だと理解を示した。個別見直し点について、協会試算の「大企業優遇税制見直しで4兆円」は、民主党政権時代に試みたが捻出することは厳しく、再検証の必要ありとした。一方で、法人税を払っていない大企業が沢山あるのは見直すべきと強調。さらに、「社会貢献税として内部留保に1%課税で1兆円」は合理的だが、税法上、二重課税の議論を乗り越える工夫がいるとした。
政策実行のあり方として、先に税負担を求めるのではなく、特例国債を発行してでもサービス充実を先行させて、それを維持するための負担を求める方が有権者を説得できるとの考えを示した。
協会側からも給付先行型を検討していることを明かし、賛意を示した。さらに、所得税の給与所得控除から税額控除への見直しについての協会試算を示し、旧民主党が検討していたテーマであり、所得再分配機能が高いとして再検討を促した。
また、税金が足りないことを理由に社会保障が抑制されているが、税収を上げるためにも地方活性化は不可欠。首都圏に人口が集中しているが、住んでいる人の生活が健全かどうかも考えるべきだとした。
その他、公立・公的病院の再編問題や府北部の医師不足などについても議員から意見があった。
立憲民主党京都府連合からの出席者
福山哲郎参議院議員
山本和嘉子衆議院議員(副会長)
田中健志京都府議会議員(幹事長)
山本篤志京都府議会議員(常任幹事)
片桐直哉京都市会議員(常任幹事)
松尾憲久御山町議会議員(常任幹事)
小松康之亀岡市会議員(常任幹事)
平田圭幹事
江頭孝博幹事