中東・中西医師会と懇談 19年11月25日 京都府医師会館 数値目標だけの医師確保計画に懸念  PDF

 協会は、中京東部・中京西部医師会との懇談会を京都府医師会館にて11月25日に開催。地区から13人、協会から5人が出席した。中京西部・谷口浩也会長の司会で進み、懇談会開催への謝意が述べられるとともに、数年ぶりの開催に際し、実りある有意義なものにしたいとあいさつした。協会からは鈴木理事長が協会の話題提供を短くし、議論に重点を置いた懇談会としたいとあいさつ。各部会からの情報提供に続き、今年度共通テーマの①医師偏在対策とかかりつけ医登録制②京都市の介護認定給付業務の委託・センター化構想―について話題提供し、活発な意見交換を行った。
 ①のテーマでは、地区からそもそも医師確保対策として「新専門医制度」を作り研修医の質を高めるとして医師数や配置をコントロールしようとしたが、うまくいかなかった。次の「新専門医制度」でもコントロールしようとしているが、国は責任を取りたくないという姿勢。地域医療計画の策定責任者である都道府県に投げたが、どうしていいのか分からないまま、行政は国の指示通りに動くことになりそうだ。医療提供者側の研修の質や教育をどうするか決めずに、このまま押し切られては将来に禍根を残す制度にならないか危惧するとの意見が出された。
 これに対し協会は、新専門医制度では総合診療専門医を多数育てて、将来の開業医、かかりつけ医にしていこうとしたが、現実には専攻医(後期研修医)のなり手が少ない。一方、学会は3年間ぐらいの研修では地域での多岐にわたるニーズに応えることはできないと断言しているが、国はその辺りのことを曖昧に進めていこうとしている。京都府は医師多数区域で、専門医の養成数が抑えられようとしている。あと10年もすれば地域医療を担っている開業医も減り、不足することが考えられ、新専門医制度のシーリングには反対をしていると述べた。
 また、地区から外来医師偏在指標には、労働時間は加味されているのかとの意見も出され、協会は開業医の業務量や労働時間を明らかにするため、2019年度の地区懇談会アンケートとして「開業医の労働内容実態について」を実施。当該地区の集計結果を報告したと述べた。
 ②のテーマについては、協会の取組みを説明し京都市は聞く耳を持たないのが現状であることを報告した。地区からは、現場の専門職を切ることは、お金で買えない人的資源を失うことであり残念。今後、質的に担保できるのか非常に心配だ。介護は行政の仕事そのものであり、地域住民の日常そのものであり、情報源である。行政が取り仕切ってやるべきもので、楽するのは筋違いだ。責任を全部放棄しているなど厳しい意見が多数寄せられた。
 最後に中京東部医師会・俵良裕会長が、今回のテーマはいずれも我々にとって重要なテーマであり、顔を合わせて直接意見交換ができ、非常に貴重な機会であることを実感できたと結んだ。

ページの先頭へ