医界寸評  PDF

医界寸評

 数を頼んでゴリ押しに成立させた安保関連法▼押し切るやいなや次期参議院選に向け、「一億総活躍社会」「介護離職ゼロ」などと聞き心地のよいキャッチフレーズが躍り出てきた。内容はと言えば、「低所得の年金受給者に一人3万円を配り」「介護施設の設備基金を積み増す」という。これを見聞きして、「ばらまき福祉」「箱物優先」をイメージしてしまうのは、もう化石世代になった証なのであろうか?▼低所得者への援助に異議を挟むつもりはないが、根本的対策は、押し進めてきた格差社会の是正であろう▼介護施設の増設は結構なことであるが、その前に介護従事職員の増加を最優先すべきである。「施設は新設されたが、動かす人手がない」現実が全く見えていない。職員が充足できないため、長期入所部門を優先し、在宅療養継続に不可欠なショートステイ部門を縮小、あるいは休止せざるを得ない状況は、とりわけ地方都市において顕著であり、深刻な事態となっている。まさに「仏造って魂入れず」なのだ。決して介護業界への就労数が減っているわけではなく、むしろ着実に増えてはいる。「需要が急拡大する中、供給が追い付かない」のであり、処遇を改善し、3Kイメージをなくすためには、削り続けている介護報酬をきちんと増額する以外に途はない。(呑鉄童)

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