医界寸評
一億総懺悔で始まった戦後70年が、首相の強い意思で戦前元年になり、一億総活躍を掲げられた今年も師走を迎えた▼そのような中、過日、パリでの同時多発テロで多数の犠牲者が出、フランス大統領は戦争であると国家非常事態を宣言し、アメリカ、ロシアと連携してISへの空爆を強化している。ISによるとされるテロは、むこうにしてみれば、空爆を繰り返す国に対するゲリラ戦のようなものであろう。今や戦争というものが、局地での戦いでなく、持てる者に対して持たざる者がテロという形でのゲリラ戦を全世界で行うことになったと思える▼そのような中、我が国は、国民の中に多くの疑問を残したまま、安倍首相自身ですら国民に理解が広がっていないことを承知のうえで、いわゆる安保法案を強行採決し、IS攻撃の有志連合に参加してしまっている。いつISのテロの標的になるかわからない状況になってきているのだ。2016年の伊勢志摩サミットの警備が検討されているようだが、そこに警察官が集まり、手薄になった地域でたくさんの人数が集まる場所を狙ってのテロが心配になる▼パリのテロでの犠牲者の夫が、「憎しみはあげない」という文章をフェイスブック上に載せて注目を集めている。憎悪の連鎖を断ち、忍耐と寛容で、来年こそ平和な世界への元年になってほしい。(門雀庵)