京都府議会各会派と懇談
地域医療構想など府の責務重要に
2018年度からの市町村国保都道府県化や地域医療構想策定によって、医療政策に携わる京都府の役割が質的にも変化する。協会は、京都府政を預かる府議会の各会派に、国の医療制度改革や「新専門医制度」について知ってもらい、協会の立場を説明し、議員への要望を届ける取り組みとして、府議会各会派との懇談を実施した。
全国への影響意識した議会を 共産党府議団
10月23日、共産党京都府議会議員団との懇談会を実施した。
協会からは、垣田理事長、渡邉副理事長、飯田理事と事務局が出席。府議団からは、前窪義由紀(宇治市・久御山町)・光永敦彦(左京区)・島田敬子(右京区)・山内佳子(南区)・西脇郁子(下京区)・迫祐仁(上京区)・上原裕見子(伏見区)・浜田良之(北区)・成宮真理子(西京区)・馬場絋平(伏見区)・森下由美(八幡市)各議員が出席した。
懇談では、府議団の前窪団長と垣田理事長がそれぞれ、あいさつ。その後、双方から情報提供した。
共産党府議団からは、島田議員より参考資料が配られ、国保都道府県化や地域医療構想に関する議会での審議状況や京都府の動向が報告された。共産党府議団は府議会唯一の野党会派として、14年9月、15年6月の定例本会議で、これらの問題を取り上げてきた。審議では山田知事からいくつか重要な答弁を引き出している。地域医療構想に関しては「国が想定しているレセプトデータからの必要病床数量の算出では、地域によって医療資源や疾病構造、交通事情や患者の流出・流入状況が異なる。画一的に算出するのでは地域の実態と乖離してしまうことになりかねない」。国保の都道府県化やその背景にある医療費適正化計画については「拙速に適正化を求めると、医療費を抑制することにしかならない」等、全国知事会長でもある山田知事のこうした発言は大変重い。こうした議会でのやりとりに加え、同議員団が整理した「医療圏毎病床状況」や「自治体別国保事業比較資料」も提供いただいた。
協会からは、渡邉副理事長から医療制度改革と「新専門医制度」の関係について報告。地域医療構想における2015年の医療需要推計が専門医研修の定員設定を活用した医師定数設定に結びつく可能性があること、総合診療専門医が従来の医師養成の流れとはまったく違う仕組みで養成されることの裏にある国の狙いを解説した。
意見交換では、「新専門医制度」の狙いについての詳細な報告は初めて聞いたという反応が寄せられた。
また、安倍政権の強行した安保法制改革やその廃止を目指す今後の運動の可能性についても意見交換した。
引き続き、こうした懇談の機会を持ち、京都府の医療政策が良いものとなるように互いに努力することを確認し、懇談は終了した。
「新専門医制度」問題に高い関心 民主党・府民クラブ府議団
11月5日、民主党・府民クラブ京都府議会議員団との懇談会を実施した。
協会からは、垣田理事長、渡邉副理事長と事務局が出席。府議団からは、田中健志(中京区)・酒井常雄(城陽市)・田中美貴子(宇治・久世郡)議員の3氏が出席した。
冒頭、垣田理事長があいさつ。安保法制改革にふれ、今後軍事費の一層の増加が見込まれ、社会保障費抑制が危惧される。2016年4月の診療報酬改定でも医療サイドの意見が通らない状態が生まれている。地域では病院の経営危機がみられ、医療制度改革で医師・行政がともに築いてきたものが崩されかねない状況だと述べた。
民主党・府民クラブからは田中健志代表幹事があいさつ。継続して、協会と府議団の懇談を続けてきている。医療問題について意見交換し、府民の安心・安全を守る立場で取り組みたいと述べた。
続いて、協会から渡邉副理事長が「医療制度改革について—『新専門医制度』を中心に」をテーマに話題提供し、意見交換した。
議員団からは、協会の見解は国の政策について「かかりつけ医を根付かせて、次のステップへという患者の流れをつくっていくということになっているが、一方で国は医療費抑制を目的に、医師を制度に組み込んでしまい、患者は二の次で制度を変えようとしているということか」との質問があった。これに対し、垣田理事長は「皆保険体制を支えてきたのは開業医。強制的配置ではなく、地域に骨を埋める覚悟をした者のモチベーションがある。国はこれを管理しようとしている」と指摘した。
また協会の報告を聞き「医療環境の格差だけでなく、医師の間の格差も生み出されてきているのを強く感じた。一方、予防に力を入れることについて、どう考えるか」との質問があった。これに対し、協会は「医療機関の少ない地域では保健師が活躍するなどして、予防に力を入れている。それ自体はもちろん悪いことではない」とした上で、それでも医師数や病床数を管理して医療費を抑制する国の動きは批判されるべきであり、この二つの立場は矛盾しないとの見解を示した。
また、地域包括ケアが課題だが、様々に地域差がある中、本当にカバーできるのか、非営利ホールディングカンパニー型法人制度は京都府内でどのように展開されるのか、国の医療需要推計が不十分であれば、どのような推計方法があり得るのかなど、多岐に亘っての意見交換となった。