愛知で反核医師・医学者のつどい
前広島市長秋葉氏被爆体験の普遍化を訴え
第26回反核医師・医学者の集いin愛知が10月31日、11月1日の両日、名古屋市で開催された。全国から246人の医師・医学者らが集い、核兵器廃絶に向けた交流を行った。
前広島市長の秋葉忠利氏は「核なき世界は実現できる」と講演。被爆者が被爆体験を語ることによる「抑止力」を劣化させない形で未来に伝えることが大切と強調。普遍性のある学問として「ホロコースト」と同じレベルで、「広島・長崎講座」を世界の主要大学において若い世代に伝えることを提唱した。
さらに、全自治体が策定しなければならない国民保護計画と地域防災計画の改定運動を呼びかけた。広島市は国民保護計画において「核兵器攻撃に対する有効な対処手段はなく、被害を避けるためには唯一、核兵器廃絶しかない」としている。これを全国の自治体に広げるとともに、地域防災計画においては「原発事故」と読み替えることをすすめた。
また安倍政権の本質はアンチライフ(「反」生命・生活・人生)だと批判。戦後70年談話で「核兵器の不拡散と究極の廃絶を目指し」といっているが、「不拡散」とは核の保有を支持すること、「究極の廃絶」とは「今は何もしないこと」ということであり、「唯一の被爆国」が出す公式見解としては、とんでもない内容だと述べた。
太平洋核実験で汚染された実態
第五福竜丸事件を追い続けている伊東英朗氏(南海放送ディレクター)は、「太平洋核実験—知られざる被曝の実態」を講演。終戦直後の1946年から62年にかけて中部太平洋で100回を超える核実験が行われ、太平洋全域と日本の汚染も米公文書で確認されている。その間も、多くの漁船が爆心地近くで漁を行い、日本近海でも海流により汚染された魚が記録されている。また50年代当時、全国で放射能雨が観測されている。それらが検証されないまま福島の事故で同じことが繰り返されたと批判した。
ドキュメンタリー映画第二弾の「放射線を浴びたX年後2」の自主上映を通じて、そうした実態を訴えるとともに、まだ明らかにされていない、当時の実験データを発掘したいと語った。