地域医療構想策定に向け調整会議
在宅対応に各地で不安の声
昨年成立した医療介護総合確保推進法により、都道府県は2018年3月までに「地域医療構想」を策定することとされている。同構想は、25年に向け病床を高度急性期・急性期・回復期・慢性期に機能分化・連携を進めるため、医療機能ごとに医療需要と病床の必要量を推計し定めるもの。(本紙2941号に解説)
このため京都府は二次医療圏ごとに調整会議を設置し、10月に入って急ピッチで検討を進めている。調整会議は医師会、病院団体や行政関係者などで構成される。「協議の場」と位置付けられ、当事者(病院等)間で病床の役割を調整させるのが本来機能である。なお、京都市域には論議する組織が設置されていなかったため、乙訓地域と分離して新たに組織を設置した。
調整会議は公開で行われるため、協会からも傍聴に参加している。これまで京都市域(10月8日)、乙訓(14日)、中丹(22日)、山城北(29日)、南丹(11月9日)で開催されており、他圏域でも順次開催される予定だ。
各地の委員からは、昨年提出した病床機能報告は機能分類の定義が不明確なこともあり正確なものとはいえないこと、将来療養病床の区分1の70%を在宅で診ることとされているためにマンパワーが対応できるのかとの不安がつのっていることなどが指摘された。以下は各地の特徴的な意見。
▼京都府は全国的にみて介護施設の定員数が下位であり、受け皿が不利なことも考慮して行政の支援が必要(京都)▼国の狙いは抑制であり、推計値とはいえ数字が一度出るとそこに収束する力が働く。医療圏ごとの必要機能を精緻に分析して現実的な構想にしてほしい(京都)▼住民の経済力が下がって医療需要に影響している。「入院は勘弁して」と言われることも少なくない。貧困で医療にかかれないという視点を考えるべき(中丹)▼医師も高齢化が進んでおり、5年から10年先に在宅患者増加に対応できるのか不安(中丹)▼当地域は交通の便が良く患者が流出入しあっているので、周辺と勘案しながら調整すべき(山城北)▼国は在宅医療を進めるというが、本当に家族を犠牲にせずにみていけるのか(山城北)▼当地域で完結するには中核病院を中心に連携するビジョンが必要ではないか(南丹)▼開業医の減少と高齢化が進み、在宅を担う若い医師が入ってこない。病院にも協力を求めているが、広大な面積をカバーするのは難しい(南丹)—。