医界寸評  PDF

医界寸評

 国試合格者はほぼ無条件に医師免許を与えられ、地方厚生局長に申請すれば原則として保険医登録される(2004年医師法改正以降は臨床研修が必須である)▼17年4月から新制度の後期研修が始まる。「医師は基本領域のいずれか一つの専門医を取得することが基本」とされている。研修施設では研修のため専攻医枠に定員が設けられる。定員が政策で決められれば、希望する専門医や診療地域を選べないこともある。必須化された臨床研修と同様に専門医登録を行わないと診療所・病院の院長になれない可能性もある。今まで医師には保険医とその他しかなかったが、今後は保険医が19の専門医に分断され、おそらく様々な利害関係が発生するであろう▼自由開業制の下、患者さんは自らの判断で医師を選び、懐具合を考え相談し診療内容を決め、出来高払いで現物支給された。今後、身近に受診したい専門医がいない、人頭制で初診は総合診療専門医になる、包括払い制度で希望する医療が選べない、そういう時代が来るかもしれない▼皆保険制度と自由開業制・フリーアクセス・出来高払いで患者さんは賢く医療を選び、今の長寿社会になった。しかし医療費が高騰するから公助に頼らず、自助と共助で頑張れという。規制緩和に逆行した細部にわたる介入で、自助・共助で頑張る民間の工夫ができなくなる。(恭仁)

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