地区医師会長との懇談会開く
受け止める地区医は課題山積 変わりゆく医療制度
協会は9月19日、地区医師会長との懇談会を開催。19の地区医師会から出席があり、鈴木由一副理事長が進行を務めた。渡邉賢治副理事長から「情勢報告」および「新専門医制度」について情報提供した後、意見交換を行った。なお、協会から、16年度に地区交付金を半額に減額し、17年度からは廃止すること。また、地区懇談会費については、多くの会員に出席いただけるよう見直しを行うことを説明し、了承を得た。
医療・介護連携で試行錯誤の状況
意見交換で特に関心のあった地域包括ケアシステムでは、医療と介護がどのように連携できるか。医師が他職種といかに協力できるかという点を試行錯誤しながら取り組み始めている中で、「地域包括ケアに関係する会議に多くの時間が費やされている」「在宅に対する医師の意識が他職種に比べて低いのでないか」「行政との連携が取りにくく、医師会としてまとめていくのが難しい」という不安の声が聞かれた。一方で、「従来から他職種との交流があり、情報交換をしながら進めている」「在宅医療を目指す開業医が増えてきているので、しっかりと地域で育てていきたい」という積極的な意見もあった。
マイナンバーの疑問が次々と
続いて、マイナンバー導入についても話題となった。「非常勤医師の源泉徴収でも、マイナンバーを記載する必要があるのか」「マイナンバー導入に伴う膨大な事務作業が懸念される」「情報漏えいが心配される」などの声が多く挙げられた。協会は、マイナンバーの取得に関しては、従業員は事業所に提出する義務はないが、事業所は各従業員から提出してもらう努力は必要とされているので、もし提出しない従業員がいる場合には、その経緯が分かるようにしておくことを勧めた。
調剤報酬の適正な評価を
その他、かかりつけ薬局、リフィル処方箋についての質問も挙がった。薬剤師と医師の役割について、厚労省側からかかりつけ薬局に処方権を与えるかのような動きがあるが、処方権は医師にのみ認められる権利である。その上で、協会は薬剤師と医師の役割を明確にするべきだとした。さらに、大手薬局チェーンで薬剤服用歴を入力していないにもかかわらず薬剤服用歴管理指導料が算定されていたことを指摘し、協会は適正な点数評価がなされることを要求していくという方向性を示した。また、リフィル処方箋については、薬の長期投与や飲み残しの減少に繋がるとされているが、医学的に認められる管理期間の基準等が定められない限り、導入は認められるべきでないと回答した。
各地区が抱えるさまざまな課題
また、各地区から「(休日診との関係で)日曜診療を認めていないが、他地区はどうか?」「外国人観光客の増加で、患者対応を考える必要がある」「財政難の中で、いかに魅力的な医師会活動を行い、会員と協力していけるか」という意見も挙げられ、地区での課題が浮き彫りとなった。
協会活動については、「マイナンバーに対して、協会の先手を打った取り組みを期待したい」「医師会活動と重複している活動があるので、もっと協会の特色を出してほしい」「政策に対して何でも反対するのではなく、改善策を主張することで、より多くの賛同を得られるようにするべきでは」といった要望も受けた。
このような意見と指摘を受け、最後に垣田理事長から、今後の各地区での懇談会でフィードバックできるようにしたい。一人ひとりの開業医の意識が問われているので、しっかりと考えていかなければいけない。京都全体の医療をどうしていくか、国の動きを注視しながら、これまでの日本の医療を守ってきた開業医として、京都の医療を守っていきたい。来年、京都で開催する「保団連医療研究フォーラム」では、まさにそのことをテーマとしており、是非ご協力いただきたいと締めくくった。