代議員月例アンケート(90)
新専門医制度について
対象者=代議員91人、回答数51(回答率56%)
調査期間=2015年9月29日〜10月13日
2017年度から始まる新専門医制度について、質を高めるということでは理解できる面もあるが、適正配置や診療報酬の差別化などにつながる懸念を拭えず、いずれ現在の開業医のあり方に大きな影響をあたえる問題を孕んでいると協会は注視している。今回、代議員の回答率は56%と関心の高さがうかがえる。
実質義務化の認知度は半数超える
新専門医制度のもとでは、「医師は基本領域のいずれかの専門医を取得することを基本とする」こととされ、15年春の卒業生から実質義務化される。この認知度については、59%が知っており、41%が知らないと回答した(図1)。なお、現在、全医師の35%は基本領域の専門医を取得していないとされているが、その方々に関しては強制とはされていない。
差別化反対は半数、受容も1/4に
新専門医制度のもとでの専門医と、そうでない医師が併存していくことになるが、何らかのかたちで差別化を図ろうとする懸念が拭えない。例えば厚労省「保健医療2035報告書」に、「総合的な診療を行うかかりつけ医」は「包括的に評価」し、「他の医療機関を受診した場合と比較して差を設けることを検討」等とされている。
そこで、診療報酬での差別化や適正配置が実施されるとしたらどう考えるかきいたところ、双方とも「反対」が半数を超えた。「いたしかたなし」も4分の1以上あり、適正配置の方がより高い割合となっている。(図2、3)
総合診療専門医への期待度は
20年度から新制度下での専門医認定が始まり、その数年後には新専門医の地域での開業、30年後にはほとんど全ての医師が置き換わることになる。現在の開業医とは違う研修を受けた医師(総合診療専門医)が地域を診ることについて、「今の開業医の良さを継承してほしい」が41%となったが、「期待する」も29%ある。「不安を感じる」は22%であった。(図4)
6割強が専門医を更新
現行の専門医資格については、今年度以降19年度までに随時新制度に更新していくことになるが、更新あるいは新たに取得する意向をたずねた。専門医資格は77%が保有しているが、更新または新たに取得するとの回答は57%にとどまる(図5、6)。内訳は「更新する」が25/39(64%)、更新しないが4/39(10%)、わからないが10/39(26%)。未取得者で新たに取得を考えているのは4/12(33%)。
自由意見では、「今後、一般開業医でも資格の更新が可能かどうか」「アメリカ式の医療となっていくことが不安」「国が開業医の標榜科や開業方法、定年等について支配する方針と考えているため不安は大きい。多くの開業医の地域に根ざした診療を評価してほしい」「歴史的に育んできたシステムが壊される。新しい制度が良いとは限らない」といった疑問や不安の声があった。一方で、「一般医の重要性がやっと認知されたと前向きに考えたい」「患者さんの利便につながればよいと思う。若い人たちの時代にも若い医者たちは情熱をもって医療にあたってくれると思う。それでよいのではないか」との声もきかれた。