「大筋合意」に抗議 皆保険壊す協定から撤退を
環太平洋連携協定(TPP)が10月5日に「大筋合意」に至った。米アトランタでの閣僚会合は異例の延長を重ねた上で強引におしきった決着であった。
これに対し協会は、「TPP『大筋合意』に抗議し、『撤退』を強く要望する」抗議談話および「TPPの持つ危険性を国民に知らせる報道を強く要望する」マスコミ向け要望を発表し関係先に送付した。談話は、生命と健康を守る医師の立場から、国民皆保険の形骸化を招く恐れの強いTPPの「大筋合意」に抗議するとともに、あらためてTPPからの「撤退」を強く要求。この協定の調印・締結、国会での批准・承認を行わないよう、同協定反対の一点で共同する団体・市民とともに全力を尽くすことを表明した。マスコミ向け要望では、「5年かかったがTPPが合意してよかった」といった論調が報道で多く見受けられることから、TPPのもつ危うさ、本質をもっと国民に知らせる報道を望んだ。
さらに、協会がこれまで交渉からの撤退を訴えてきたのは、TPP参加が国民皆保険制度に深刻な打撃を与えるのみならず、我が国の主権にも関わる問題であるという認識からであること。TPPは、単なる関税自由化に関する協定にとどまるものではなく、あらゆる公的規制や産業保護政策を貿易障壁とみなしてそれを取り払おうとするものであり、多国籍企業の利益を優先し、他国の強制力を使って規制緩和を迫る国際的仕組みであるからだと説明。医療分野では、薬価決定過程への米国製薬企業の参加による薬事行政への介入、混合診療の解禁や営利病院の病院経営参入、民間医療保険の販売規制を取り払っての販売拡大が要求されると懸念される。ISD条項(投資家対国家の紛争解決)が盛り込まれたことにより、皆保険制度が攻撃にさらされる危険が払拭できていないと警鐘を鳴らした。
また、協会も参加するTPP参加反対京都ネットワークは7日、烏丸四条で抗議宣伝を行い、その危険性を訴えて撤退に理解を求めた。