確定申告・税務調査の動向で意見交換 協会協力税理士との懇談会開く
協会は、4月21日に協会事業に協力していただいている5人の税理士と懇談し、(1)14年分確定申告の状況(2)14年度税務調査の動向(3)最近の雇用問題にかかるトラブルの動向—を中心に意見交換した。また、協会の共済制度への理解および会員からの相談時における態勢や各種講習会、セミナー等事業について一層の協力をお願いした。
確定申告は医院経営見直しの機会
税理士から、収入額が多いところは更に増加し、少ないところは更に減少するといった二極化傾向が強いことが報告された。また、所得拡大促進税制や雇用促進税制、生産性向上設備投資促進税制や中小企業等投資促進税制、ふるさと納税等の優遇税制の適用が増加したこと。措置法26条適用の場合で、自由診療が多い科目についてはワクチン購入代を明確に区分経理し、消費税の納税義務者となるケースにおいても同様に、ワクチン購入代(自由診療収入にのみ対応する課税仕入れ)を明確に区分できる状況を会計上整備しておくことで、申告が有利になるケースがあり留意したことなどが述べられた。また、医療法人では、役員報酬を抑え過ぎて法人に資産が残りすぎるケース等があった。法人化については医療情勢の変化も激しいことから、目の前の節税にとらわれず長期的視野で判断すべき。税理士が電子申告している場合は、納税者(開業医)へ振替納税のお知らせがこないので注意が必要とした。確定申告については、納税額への関心だけでなく、医院経営の見直しの機会に変わってきていることも報告された。
手続きの煩雑化などで調査期間長期化
国税通則法改正の影響から調査件数は減少している。個人開業医においては交際費や贈答等の内容、家事費の混入などが調査対象となっている。反面調査で、医療機器のリース取引に関して、リース資産の実在性、業者からの受取金額の計上について指摘があったことに触れ、調査期間は、1〜2日で終結する場合もあれば、実地調査は2〜3日だが結論が出るまで2、3カ月と長期化するケースもあり、税務署の調査官のかけもち、調査手続きの煩雑化が要因として考えられるとした。
時間外労働減らす取組み求められる傾向に
求人難で、広告媒体などで募集しても応募者がなく、何度も広告を出すことになり、広告代金が嵩んでいること。メンタル関係が絡んだ内容がここ数年増え、マタハラ裁判の報道以降、マタハラという造語が普及したことで、雇用主側からの事前対応の相談が多くあった。
労働基準監督署の調査では、従来通り時間外労働に関する内容が中心。以前のような時間外手当の不払いの是正というより、脳神経疾患の労災防止、メンタルヘルス予防の観点から時間外労働を減らすこと自体を求めてきている。時間外労働の多い事業所では、その場限りの対応では終わらず、継続的に取組みをみられるケースもある。労働審判に関しては、有休未消化分の買い取りが問題となっている。雇用に関してもトラブルのあるところ、ないところが両極端で二極化が見られると、現況についての報告がなされた。
協会からは、融資制度・医師賠償責任保険・休業補償制度・保険医年金の協会四大共済制度への理解とともに、医院経営に関わる講習会・セミナーなどへの更なる協力を求めた。