医療・介護提供体制改革の影響についてアンケート
ニーズに応じた多様な施設整備望む
協会は2014年10月から15年4月にかけて、会員対象に「医療・介護提供体制改革の影響」でアンケートを実施した。いわゆる川上改革=病床機能分化で病床数の削減、在院日数の短縮を行い、川下改革=地域包括ケアシステム構築により在宅医療・在宅介護に患者を流しこんで医療費抑制を狙う医療・介護提供体制改革について、むしろ提供体制のあり方を絞り込まずに、患者の状況に応じた多様な病床・施設の整備を望む声が多数を占めた。対象は2249人(地区懇談会を開催した23地区の会員)、回収数は314(回収率14%)。
半数が必要期間入所できる病床・施設整備望む
地域の受皿体制の整わないまま病床機能分化が強行されれば、行き場をなくした医療難民、介護難民が生じる懸念がある。このことについて、「むしろ複雑な病状や家庭環境に困難を抱える患者を必要に応じて必要な期間受け止めてくれる病床と施設の整備を進めるべき」が51%、次いで「総量削減、患者の病院・施設からの追い出しとセットであることは問題」が22%で、「病床の機能別再編も患者の退院・退所の促進もいずれも必要だ」は7%、「わからない」13%となった。(図1)
看取りの場「選択できる条件整備を」が72%
「多死社会」到来に向けて、さらに病床数を絞り、在宅での看取りを重視していく方向性について、「患者さんの病状や条件に合わせて、病床、施設、自宅等での看取りを選択できるように条件整備すべき」が72%、「病院中心」10%、「自宅を増やす」8%、わからない4%。(図2)
新型法人構想はまだ「わからない」が半数
成長戦略の中で提案されている「非営利ホールディングカンパニー型法人制度(地域連携型法人制度)」に地域の開業医も組み込んでいく構想について、「わからない」が49%で、「反対」は43%、「賛成」は4%。(図3)
自由意見では、「大病院傘下に入ってしまい地域に即した地域医療の良い面が損なわれる危険」「儲けを追求する医療は無駄な医療を増やすだろう」「医療の効率化の名の下、患者が選択肢を奪われれば質の低下を招く」など、反対意見がまさった。
総額管理の導入に反対が67%
レセプトデータを使って都道府県ごとの医療費を設定し、「医療費総額管理システム」の準備が進んでいることについて、「必要な医療が提供できないような総額管理システムを導入すべきでない」が67%、「わからない」16%、「総額管理は必要」も13%あった。(図4)
自由意見では、「データが独り歩きして患者の顔の見えない制度改悪が進む可能性が高い」「官僚による支配を容易にする」などを理由に反対の声がある一方、「同じ疾患で複数医療機関を受診するなど無駄な医療の抑制には有効か」「過剰診療の側面を正すことが必要」などの、何らかのシステム構築が必要とする意見もある。