九条医療人の会が総会  PDF

九条医療人の会が総会

平和主義の再生を 君島立命大教授が講演

 安倍政権が集団的自衛権の行使を可能にする安全保障法案を国会提出した翌5月16日、九条の会アピールを支持する京都医療人の会が第7回定期総会を開催。君島東彦氏(立命館大学教授)による公開講演会「憲法9条を立体的にとらえる─平和主義の再生のために」を行った後、参加者全員でアピール「『戦争法案』強行する安倍政権に抗議 戦争国家への転換に明確なる拒否宣言」を採択した。

市民の平和外交確立へ重要性を強調

 君島氏は、平和について考えるとき日本国憲法から出発してはならず、世界秩序の中で日本国憲法が果しうる役割、果すべき役割から考察すべきとし、その中で安倍政権による安保法制改変と改憲志向も位置づけるべきだと論じ、大要以下の講演を行った。
 そもそも日本国憲法9条は、国連=連合国による日本軍の武装解除の側面があり、懲罰とアジアに対する加害責任の意味合いがあった。50年代に冷戦進行で再軍備が追求されたが、そうした改憲圧力を撥ね退けることで、日本の民衆は憲法の平和主義をつかみとり、自分たちのものにしてきた。しかし、若い世代にはそれが共有されていない。90年代半ばでそれまでの平和教育が終焉し、その頃から保守主義運動が活発化、20年にわたる右傾化の動きの集大成が安倍政権といえる。
 戦後の米国の経済的軍事的覇権が70年代後半から衰退するに伴い、日本がそれを補う役割も重くなってゆく。安倍政権の「積極的平和主義」とは、この日本外交と自衛隊による補完であり、湾岸戦争に自衛隊を派遣できなかった日本外務省のトラウマに由来する。軍事的裏付けのない外交はないと認識する外務省が、憲法の平和主義改変の主役となっている。
 多くの国家は戦争衝動を持つが、民衆は戦争を欲していない。国家が煽動する敵対関係を見破り、それを超えていくには市民社会の横の繋がりが重要。武力行使を「しない」平和主義はもちろんのこと、平和で公正な世界をつくるために非軍事的に何をなしうるかの「する」平和主義も問われる。外務省に平和外交を期待できない以上、市民が行動する以外にない。
 いま我々にできることは、世界と日本の現状・今後を正確に理解し、武力行使を減らす方向性を追及するために発言し、米国や東アジアの平和運動とつながること。選挙での投票行動、国会監視はもとより、日本社会の軍事化を目指す憲法改正にいまから反対の世論をつくることだと論じた。

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