総合診療専門医のカリキュラム公表 人間中心の医療など目標示す  PDF

総合診療専門医のカリキュラム公表 人間中心の医療など目標示す

 日本専門医機構は4月20日、2017年度開始予定の新たな専門医制度について、総合診療専門医を養成するための枠組みをホームページ上で公表した。
 「総合診療専門医専門研修カリキュラム(案)」は、六つの「到達目標」と五つの「経験目標」で構成される(下表)
 例えば到達目標の1番目の「人間中心の医療・ケア」をみると、「患者を取り巻く家族、地域社会、文化などのコンテクストが関与していることを全人的に理解し、患者、家族が豊かな人生を送れるように、家族志向でコミュニケーションを重視した診療・ケアを提供する」とある。その具体的な目標には、「家族図の作成と家族内の関係性の評価を実施することができる」や、「家族の関係性に対して家族カンファレンスも含めた介入ができる」など、家族と相当深く関わる13項目を、努力目標のBではなく、必須目標のAとして掲げてある。
 一方、「身体診察及び検査・治療手技」や「医療・介護の連携活動」など五つの経験目標について、具体的な名称や内容を明示した。
 このほかに、指導医の要件、研修医療機関における「プログラム統括責任者」の要件などを提示。指導医候補については、「プライマリ・ケア連合学会のプライマリ・ケア認定医、及び家庭医療専門医」などのほか、六つの到達目標を地域で実践していると都道府県・郡市区医師会から推薦された医師もあげた。臨床能力と教育能力に関するリポートを提出し、評価を受けた上で講習会(1泊2日程度)を修了することで認定を受ける、とある。

機構専門医 2020年度から完全運用

 また、同機構は4月6日の理事会で、2020年度から完全運用するなどとした「機構認定専門医制度の更新基準」をまとめた。学会認定専門医などを対象とする移行措置は19年度までの5年間運用し、新たな更新基準で一定の単位を取得することにより機構認定専門医として更新できるようにする。移行措置終了の20年度以降は学会専門医としての資格更新はできなくなる。また、17年3月以前に旧カリキュラムで専門研修を開始した学会専門医は、認定の5年後に機構認定専門医として更新の対象になるとしている。

総合診療専門医の研修カリキュラム項目

【到達目標:6つのコアコンピテンシー】
1.人間中心の医療・ケア
 1)患者中心の医療
 2)家庭志向型医療・ケア
 3)患者・家族との協働を促すコミュニケーション
2.包括的統合アプローチ
 1)未分化で多様かつ複雑な健康問題への対応
 2)効率よく的確な臨床推論
 3)健康増進と疾病予防
 4)継続的な医療・ケア
3.連携重視のマネジメント
 1)多職種協働のチーム医療
 2)医療機関連携および医療・介護連携
 3)組織運営マネジメント
4. 地域志向アプローチ
 1)保健・医療・介護・福祉事業への参画
 2)地域ニーズの把握とアプローチ
5.公益に資する職業規範
 1)倫理観と説明責任
 2)自己研鑽とワークライフバランス
 3)研究と教育
6. 診療の場の多様性
 1)外来医療
 2)救急医療
 3)病棟医療
 4)在宅医療
【経験目標】
1.身体診察及び検査・治療手技
2.一般的な症候への適切な対応と問題解決
3.一般的な疾患・病態に対する適切なマネジメント
4.医療・介護の連携活動
5.保健事業・予防医療

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