患者申出療養等の署名活動を振り返って
副理事長 渡邉賢治
今回の協会の署名活動で、会員署名のうち「都道府県ごとに医療費を管理させる国のねらいに反対し府民の生命と健康を守る医療行政の継続・発展を求める」は227筆、「私たち保険医は混合診療拡大策に反対です」は248筆、また「混合診療拡大策の中止を求める要求書」の患者署名は3960筆(5月13日現在)という結果でした。目標としていた筆数には及びませんでしたが、今回の署名にご協力いただいた会員の先生方にはお礼申し上げます。
今回目標にしていた数に到達できなかった原因として、特に患者署名に関しては、「患者申出療養」という患者に説明するのが難しい内容であったことが一つの原因と思います。
患者が署名を行う契機は、医師からの要請が最も大きな要因と思います。患者自らが署名の内容を読み、確認して署名するといった行動はなかなか意識の高い人でなければ行わないのではないかと思います。実際、当院でも患者に署名の要請をしたのとしないのでは、署名してくださる患者の数に明らかな差がでました。
診療をしながら患者に署名を要請するには、伝える医師側、受ける患者側の双方が簡単に伝えられ理解できる内容であることが必要であったと思います。
今回の患者署名で、「患者申出療養」に関して十分に理解して署名していただいた患者がどの程度いたかは難しいです。ただ、患者が医師への信頼感から署名するといったケースもあり、このこともとても重要なことだと思います。
また私達医師側の問題として、署名を集めることでその要求をどれだけ実現させることができるのか。今回の場合は、「患者申出療養」の署名を集めることで、やめさせることができるのか。どれだけの影響をあたえることができるのか。こういった署名を集めることでの結果に関してしっかりとした確信がもてないでいる点もあげられると思います。
署名活動を行うに当たって、その目的をしっかりもって行わなければならないと思います。目的が署名活動を通じて要求の内容を広く理解してもらうためなのか、要求を勝ち取るためにできるだけ多くの署名を集めることが目的なのか。そういった目的によって署名活動、署名の内容は変わってくると思います。特に患者署名に関しては、一言で患者が理解できる、解りやすい内容であること。また、私達医師側が一言で患者に内容を伝えることができるものであること。この二つが医師側、患者側双方が署名活動への行動を起こしやすくするものだと思います。
今後、署名活動を行うに時は、こういった点をしっかり踏まえ進めていく必要があると思います。