医界寸評  PDF

医界寸評

 3月3日ひな祭りの日、ラストランを9日後に控えた「トワイライトエクスプレス」車中の人となった。26年来の憧れに昨年末からチャレンジし、二度にわたって冬の日本海気候に阻まれて運休の憂き目に遭い、まさに三度目の正直(一歩間違えば二度あることは三度ある)であった。食堂車「ダイナープレヤデス」クルーの素晴らしいチームワークによる行き届いたサービスの心地よさに、「なんでもっと早く乗らなかったのか」と自責の念に駆られた▼「チームワーク」。昨今医療や介護の分野でも、今更ながら声高に叫ばれている言葉である。今春の介護保険報酬改定では、これに冷水を浴びせる対応がとられた。「介護職員処遇改善加算の見直し」である。「現代の3K職場」とされる介護現場離れを改善する方策のはずが、現場に無用の軋轢を生む内容となっている▼対象が高齢者であれ、障害を持つ人であれ、介護現場は介護職員のみで成り立っているのではない。生活相談員、ケアマネジャー、医務職員、調理職員等々まさに多職種協働体なのだ。なのにこの加算での収入は、介護職員のみに限定して配分すると規定されている▼チームとしてケアに携わっている他職種のモチベーションを萎えさせてしまうものでしかない。いつもながらの現場を知らない机上理論に怒り心頭の日々である。(呑鉄童)

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