地域包括ケアの要望もとに地区会長らとともに京都市と懇談
協会は2月26日、先に提出した「医療・介護総合確保推進法施行にかかる要望書」(11月14日提出)に基づく京都市当局との懇談会を開催した。
協会の要望書は、市町村国保の都道府県化や患者申出療養創設をめぐる問題も含むものだったが、市側からの出席者が保健福祉局・長寿社会部・長寿社会課ならびに同介護保険課と高齢者施策のセクションからであったため、懇談は主に「地域包括ケアシステム」をめぐる市施策と、地区医師会からの意見・質問を中心とするものとなった。
協会からは垣田理事長、渡邉副理事長が出席、京都市内の地区医師会から田中嘉人北医師会長、水谷正太西陣医師会副会長、山下琢下京西部医師会会長、中嶋毅東山医師会長が出席。京都市からは、長寿福祉課長の谷利康樹氏、介護保険課担当課長の櫻井明弘氏ら6人が出席した。
懇談は渡邉副理事長の司会で進行。要望に対する京都市からの口頭による回答に続き、意見交換した。
京都市は第6期長寿すこやかプランで「京都市版地域包括ケアシステム」を強調。日常生活圏域(京都市では76地域を設定)単位で医療・介護・予防・住まい・生活支援サービスが連携し、住み慣れた地域での生活の実現を目指す。京都市は、地域包括支援センターを中心に開催する「地域ケア会議」※へ、地区医師会の参画を求め、これを通じ、地域における今後の医療・介護連携の推進を図るという。これに関し、地区の出席者から「京都市は地区医師会にどの程度のことを求めているのか。地域の医療・介護の提供体制を評価するにも、その不足・充足の判断を行う役割は区役所が行い、医師会と意見交換するのか。落としどころはどんなイメージなのか」「在宅での介護や終末期を望む人は多い。しかし、それが必ずしもうまくいかない背景には、老老介護等の実態がある」「要支援1、2が一部国から自治体へ移行してくる。自治体間のサービス格差が心配される」等、様々な意見が出された。また地域包括ケアシステム構築が叫ばれるが、「地域によって、必要な資源の在り方に違いがある。地域ケア会議の中で、そうした違いも踏まえてケア体制の姿を医師や介護関係者が一緒に考えていこうとの方針であろう。しかし、どこまでが自治体、どこまでが医師会の責任になるのか。同じ地区医師会でも、その在り方は様々であり、それも踏まえた市としての支援が必要ではないか」と、地形・環境、医師会の在り方等きめ細やかな実態の違いに着目した市の施策が重要との指摘があった。懇談の締めくくりには、渡邉副理事長が「地域をどうするか、街をどうするかから地域包括ケアは始まる」と実態に即した市の施策展開を求めた。
※「地域ケア会議」は従来厚労省通知に基づき実施されてきたが、医療・介護総合確保推進法(2014年6月成立)における介護保険法改正で法定化(努力規定)された。地域包括支援センターを軸に開催され、参加職種として包括のスタッフ、ケアマネジャーだけでなく医師や事業者、リハビリ専門職、住民代表の参加も想定され、事例検討を超えた「政策形成」の場としての役割が期待されることとなった。