専門医会長との懇談会を開催
不合理点数是正に向け協力して運動を
協会は専門医会長との懇談会を2月28日に開催。専門医会から10人、協会から10人が出席した。理事および保険審査通信検討委員の改選、2014年度審査に関するアンケート調査結果、新専門医制度と総合診療専門医等について担当理事が説明を行い、各専門医会からは各科の昨年改定の不合理部分、次回改定への要求、協会活動への要望などについて意見を聞いた。
各科で広がる矛盾した点数
小児科:今期は不在であったが、次期は協会に推薦できる理事者が内定している。一方で、診療内容向上会の開催継続が困難となってきている。保険点数を扱う会には協賛できないと言われており、今のメーカーも今年度限りとなる。
胸部:協会への理事・役員の推薦はできるだけ協力したい。審査アンケートにあったが、審査支払機関より以前のレセプトがまとまって減点されることがある。できるだけ当月分などで早く間違いを指摘してもらいたい。
外科:新専門医制度で気になるのは、資格の更新と医師の偏在が解消されるのかどうかの2点。点数改善の要望は、(1)鏡視下手術の材料評価の改善(2)短期滞在手術等基本料3を平均在院日数の計算対象とすること(3)手術・処置の休日・時間外・深夜加算1の算定要件の緩和−などである。
産婦人科:前回改定で大幅に引き下げられた帝王切開術の点数引き上げに協力してもらいたい。医療事故調査制度については、産婦人科は必ず死産を扱うが、小さな医療機関では院内事故調査委員会の設置等の対応が困難。協会でもサポートしてほしい。
眼科:眼科では白内障手術等の材料代は全く請求できない。また、コンタクトレンズをいったん処方すると、原則初診料が算定できないという不合理がある。協会から声を上げてほしい。在宅での眼科医の必要性が高まっているが、府内150人のA会員では対応が困難という課題もある。
泌尿器科:現場の医師にも保険のことを伝えようと学会でも努力をしている。京都の会員にも、保険診療とは何かということを、特に若い医師に分かってもらえるような取り組みを考えていきたい。
消化器:ピロリ除菌、PPIの取り扱い等審査上難しい点があるが、基金・国保の審査委員間で調整等を行い、必要に応じて会員への周知も行っている。診療内容向上会では、協会でもスポンサー探しに協力してほしい。
形成外科:形成外科では、保険診療と自費診療の二本立てという会員が多く、その線引は各会員の判断となっている。全体としてのルールづくりを行いたと思っているが、まだ実現していない。
循環器:協会に実現してほしいことを要望して、それが叶えられるのか。改定で混乱したASV(Adaptive Servo Ventilation)の取り扱いでは、次回改定に向けて学会が厚労省との調整に動いており、学会ルートの影響力はやはり大きい。協会はもっと積極的に取り組んでほしい。
耳鼻咽喉科:総合診療専門医の診療範囲には耳鼻咽喉科医の日常診療範囲の約7割が含まれている。耳鼻咽喉科専門医でない医師によるそのような行為は危険ですらある。耳鼻咽喉科専門医には容易に受診できない、米国・英国のような制度には強く反対する。診療報酬改定の要望は(1)耳鼻咽喉科処置に対する乳幼児加算の新設(2)中等度難聴管理加算の新設(3)皮下および舌下免疫療法における指導管理料の新設−などである。
内科:様々な矛盾があるとの各医会のご意見はまったくその通りと思う。結局のところ目的は医療費削減であり、それにどのように対応するのか。混合診療や患者申出療養を含めて我々医師がどう考えていくのかを問われている。
皆保険守るため引き続き連携を
協会の取組みの実効性について、協会は、改定毎の改善要望を保団連とともに地域の会員の意見も取り入れた独自の要求で行っており、在宅医療点数の不合理是正などで成果も上がっている。それぞれの立場で声を上げていくことが必要と答えた。
医療事故調査制度については、実際に動き出すとなれば院内調査を支援する「支援法人・組織」に協会として名乗りを上げることも検討したいと答えた。
最後に、各専門医会と審査委員会があるからこそ国民皆保険が守られていることに敬意を表し、今後も協会の運動へ協力・助言をいただくことをお願いして懇談会を終了した。