医療費総額管理に反対を 会員署名携え府と懇談
府担当者に署名を手渡す渡邉副理事長
協会は1月30日、国がねらう都道府県単位の医療費総額管理制度に反対するよう京都府知事に求める会員署名227人分を京都府に提出し、国会提出の迫る医療保険制度改革法案について懇談した。署名は渡邉副理事長が京都府保健福祉部医療企画課に手渡した。会員署名には、「国の打ち出す連続する社会保障改悪・政策に京都府民を代表して異を唱えてほしい」「無理に医療費を抑えこむと、どこかに綻びが出てくる」「国民皆保険を形骸化して、必要な医療サービスを届けることを阻害する」「(総額管理には)医学的根拠がない」「地域の実情を考慮し、充実した医療が行える政策の実現を求める」と、総額管理に対する不安・批判が多数書き込まれていた。
知事会緊急要請に敬意
懇談では、協会から、山田京都府知事が会長を務める全国知事会が「緊急要請」を行い、会員署名の要望趣旨とも重なる都道府県医療費適正化計画見直しへの懸念を表明したことに敬意を表した。これに対し、府からは「(医療費適正化計画がスタートした)2008年以来、医療費を計画的に管理することは手法・責任の点からも国が言うような路線をそのまま受け入れることは難しいというのが府の立場だ。しっかりと署名を受け止め、やっていきたい」と応じた。
都道府県の医療費抑制主体化を懸念
国会提出目前の医療保険制度改革法案は市町村国保の都道府県化を中心的内容としている。今回、地方自治体側の求めに応じ、国は17年には合計3400億円となる公費を出動する。協会は、そうした歓迎すべき状況がある一方で、都道府県が国保の財政運営を担うことで、財政圧力により、将来的には都道府県が適正化(抑制)せざるを得ない事態も起こり得るのではと指摘。これに対し府は、3400億円は定率でなく定額で毎年度出動されるものになるとみられ、いずれ不足する危険性があるとの認識を示した。その上で、全国知事会の究極の目標は、地域職域を超えた医療保険の国単位の一元化である。その立場から言えば都道府県での医療費適正化計画は、発想があわないと述べた。
生活問題から出発した政策形成が重要
協会は、今日国が打ち出している医療費適正化指標に関わり、イギリスのNHSの例をあげ、貧困や社会資源の状況を地域ごとに毎年明らかにしていることを紹介。対する日本の医療費適正化方針は病床数等のみに執着しており、大切な視点を欠落させている。まして国は保険医数とその変遷さえ把握していない。必要な統計もなく適正化政策が進められていることは問題だ。真に地域の医療ニーズをくみ取る、健康問題の背景にある生活問題にまで目を配った政策形成が、都道府県レベルでは求められると提起した。