下京東部医師会と懇談
11月12日 ホテル日航プリンセス京都
均衡欠く提供体制改革を危惧
協会は11月12日、下京東部医師会との懇談会を開催した。地区から17人、協会から6人が出席した。懇談会は下京東部医師会の木谷輝夫副会長の司会で進行し、佐々木敏之会長のあいさつの後、協会は各部会の話題提供を行った。また、「医療・介護提供体制と医療保険制度の一体改革」「新専門医制度と総合診療専門医制」についてプレゼンテーションし、活発な意見交換を行った。
意見交換では、現在進行中の医療・介護の一体改革について「川下での訪問看護や介護関連施設等の充実が必要では」との意見が出され、協会は「均衡を欠いた改革では、医療・介護難民が今以上に増加する。特に川下の質を落とさず、充実をはかるよう強く訴えていくことが必要だ」とした。
また地域包括ケアについては「地区内での各職域とのネットワークが必要だが、先進的な事例を聞いても実行は困難視されている」との意見が出されたが、協会は「各自治体でも明確なビジョンはなく、地区医師会ごとに行政と折衝していく姿勢が求められる。これからは若い世代の医師の確保が必要になる。地域住民の一員として真剣に問題提起する必要がある」との見解を示した。
さらに、新専門医制度と総合診療専門医について地区から「総合診療専門医への期待が高まっているが、基本領域の専門医制度をしっかりしておかないと、総合診療専門医が育っても問題が多く、現今のタイムスケジュールでは、とうてい実現は無理」などの意見が出された。協会は「総合診療専門医のモデルは、かつて自治医大が目指した地域医療の専門医ではないか。総合診療専門医が、即地域の医療を担えるかは疑問で、開業医医療はけっして甘いものではない。われわれ開業医が培った良さを、どのように後世に伝えるのか、議論を要する。また、マンパワー不足を若い人材で補い、医療コストを抑えると同時に国がコントロールできる人を落下傘で落としていくという施策には、注視が必要だ」と説明した。
その他、消費税増税問題では「団塊の世代が75歳になる頃には国の財源はパンクする。従って税率10%は断腸の思いで決断すべき」との意見が出されたが、協会は「現時点で10%に上げることには反対である」とし、「今後とも、医療は『ゼロ税率』を掲げていきたい」と述べた。
出席者からは、地域の要請に応えて介護要員に行う医療分野での研修に関して、行政と積極的に話し合っている取り組みの現状が報告されるなど、協会の今後の活動に活かすことのできる意義のある懇談会となった。