医療制度大転換が着々と進行 自治体要請や意見交換通じ医療守る運動を
厚生労働省は9月10日、病床機能報告制度の専用ホームページと疑義照会窓口を設置した。同制度は、6月に成立した医療・介護総合確保法による医療・介護サービス提供体制改革の「川上」改革の第一歩である(医療政策関連情報2014年8月25日号で詳報)。さらに、9月12日には「総合確保方針」が告示され、18日には国が策定する「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」の第1回会合も行われた。
加えて、年明け通常国会に向け、社会保障審議会・医療保険部会で厚労省は「医療保険制度改革の主な論点(案)」を示した。一方、医療・介護の成長産業化の動きも活発であり、9月16日に規制改革会議が再始動。厚労省の「医療法人の事業展開等に関する検討会」の議論(非営利ホールディングカンパニー型医療法人制度の創設)も進むなど、医療制度大転換への根本的組み替えは壮大な規模で進む。
病床機能は11/14が報告期限
病床機能報告の対象医療機関は、(1)「自院の一般病床の持つ(持たせたい)機能」(2)「構造設備・人員配置」(3)「医療の内容」—を毎年都道府県に報告することになる。報告期限は初年度の今年度のみ11月14日(金)に設定(10月1日から受付開始。来年度からは10月31日が期限となる)。厚労省の専用ホームページには報告マニュアルや様式例、記入要領が付されている。(1)については、高度急性期・急性期・回復期・慢性期機能のいずれか一つを、四つの時点で回答させる。現在の医療機能(2014年7月1日現在)6年が経過した時点における医療機能の予定来年や2年後といった比較的短期の医療機能の変更予定がある場合、変更の時期の目途と変更後の機能(任意)2025年度時点における医療機能(任意)—。
総合確保方針の策定
総合確保方針(地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針)は、医療・介護総合確保法に基づき、厚労大臣が定める。本方針は都道府県設置の新基金についての取り決めを定め、同時に今後策定の「医療計画」(「地域医療構想」含む)や「介護保険事業支援計画」の方向を決定づける。基金は、都道府県・市町村での総合確保方針に沿った地域医療構想や「介護保険事業計画」推進に必要な財源の配分といえる。
今方針には、▽意義・基本的方向に関する事項▽医療計画基本方針と介護保険事業計画基本指針の基本となるべき事項や、両計画の整合性確保に関する事項▽自治体の策定する「都道府県計画」と「市町村計画」で、データに基づく現状分析と将来推計を踏まえた達成目標の設定や、両計画の整合性の確保(医療介護総合確保区域は、都道府県は二次医療圏・市町村は日常生活圏域)▽新基金の配分や実施事業に関する基本的な事項—が書かれている。
その意義は、超高齢社会の進行、疾病構造の変化と医療・介護連携の必要性、医療・介護保険制度の持続可能性からの提供体制見直しというお馴染みの論理で語られるのである。
医療守る力の結集を
今日、一見バラバラの作業と見える改変の動きは、すべて安倍政権下の医療制度構造改革による都道府県単位の医療費抑制の姿を目指して進んでいるのだと捉え、総体としてもみることが重要である。とりわけ、国による地域医療構想策定ガイドラインの検討作業に注視し、京都府と市町村に対する要請や意見交換を通じ、自治体での改革具体化を目前にした医療を守る力の結集が強く求められる。