医界寸評
札幌での保団連医療研究フォーラムに参加し、京都協会が担当したハルビンへの「731部隊史跡視察ツアー」を報告した▼この旅行に金沢から参加された横山隆先生が「大東亜戦争陸軍衛生史に見る731部隊の影」と題する研究発表をされ、731部隊の影が見てとれる教科書が編纂され戦後の自衛隊衛生学校、防衛医科大学での教育の中に受け継がれている事実を紹介。それら資料をもとに「当時外科治療の飛躍的発展があった」とする研究発表が最近の外科系学会誌に出たという▼先日「昭和天皇実録」が公表され、編纂者は淡々と事実に基づき記載を行ったと強調したが、どの事実を取り上げるかの選択自体が特定の意図に基づき、史書における客観性など元からあり得ない▼十五年戦争の戦没者数を例に挙げても、日本政府の公式見解は310万人だが、他国の人々に与えた損傷数は計り知れず、中国は二、三千万と発表している事実もある▼世界を巻き込んで多大な犠牲をしいた戦争指導者達はそれぞれに責任を取って大戦を終結させた。我が国を除いて▼「イスラム国」にヨーロッパから多くの若者が参戦し不穏な世界情勢が拡大している時、既に確定された歴史的事実さえ認めようとしない政治家達が大手を振ってまかり通る日本の今の政治状況は極めて異常で、反戦平和の誓いが危うくなっているのでは。(さ)