総会出席者にアンケート「川上」の改革について
6月18日に成立した「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(医療・介護総合確保法)」について、代議員定例アンケートで、その認知度をたずねたところ、個別項目の認知度に開きがみられた(本紙第2901号)。中でも医療・介護提供体制上の「川上」改革の一部である病床機能報告制度等については、わずか19%の認知度であったことから、改めていわゆる「川上」改革=入院医療機関の機能と病床数の削減・再編について解説し、総会出席者の意見をきいた。総会出席者105人中、回答は98人(回答率93%)であった。
「川上」改革に反対が47%
「川上」改革に賛成か反対かについてきいたところ、 賛成が12%、反対が47%、どちらとも言えないが27%、分からないは12%であった。
「川上」改革が、診療所など在宅や外来を担っている医療機関の医療活動や患者さんに与える影響について、主な意見を左記に抜粋する。
〈反対〉
▽医療提供体制の現実を踏まえない政策で、特に大都市部とそれ以外の地域との大きな格差がほとんど考慮されていない。中規模都市においても「地域医療ビジョン」は無理がある。強行すれば行き場のない患者が続出する。2〜5年後にもその現実が表面化するだろう。その時点での修正、見直しがどれだけ根本的に行われるかが、その後の日本の医療の質・量に大きな影響を与えると考える。在宅、外来も含めた大きな転換が迫っている。
〈賛成〉
▽団塊の世代が亡くなる時代になれば、年間死亡者数は約2倍になるといわれており、死に場所難民が出るといわれている。政策として何らかの対策をするのが国として当然ではないか。川上改革は川下改革と同時平行で行われているではないか。何が問題というのか。
▽超高齢化に伴う社会保障費の自然増に対し、個人からの税収は減少と財政の悪化がある以上、従前の制度がどんどん合理化や見直しを迫られるのは仕方がなく、それによってどのような影響が起ころうと、それを受け止めて克服していくほかない。理想を唱えても現実はどんどん財政悪化を続けており、現実を受け止めてそれに対応していくしかないと思う。
〈どちらとも言えない〉
▽受け皿となる医療機関が安定して診療体制を継続していけるかが課題だと思う。受け皿がしっかりしていれば、おそらく診療所との連携が構築されて在宅医療がうまく循環するように思われる。しかし、川上改革がはたして医療費抑制になるのかは疑問である。医療現場を実際知っているものが、医療制度改革を進めないと保険屋、金融屋たちが考えると、営利のみを追求し結果的に医療体制そのものが空洞化していくように思う。