医界寸評
同床異夢という言葉は、よく使われるが、その対義語は何かふと気になった。異床同夢とは聞いたことがないので、調べてみたところ異榻同夢というらしい。「榻」とは牛車から牛を外したとき、その部分を支え、乗り降りの際には踏み台とする台、だそうである▼医療関係者の全員の夢は目の前の患者の病気を治し、元気になってもらうこと。ひいては国民の健康である。しかしその「夢」を叶えるためには、自分の施設の存続を図る必要があり、その立場の違いにより主張・要求が異なってくることもある▼消費税による「損税」解消のための要求で医療団体の主張が割れている。保険医協会は以前から「ゼロ税率」を主張し、これからも要求を続けていく。病院団体は消費税課税を主張しているのが目に付く。我々はこれには患者負担増、二重課税の疑いなどの問題があり反対しているが、課税を主張せざるを得ない病院の経営状態については十分認識しなければならない▼繰り返しになるが、医療関係者の共通の望みは国民の健康である。まさに異榻同夢であるが、望みが共通であれば、どこかで一致できるのではないかと考えている。目前に迫る消費税10%時代に向けて、損税問題の解決のため医療界の団結が求められている。同床異夢という言葉を調べながらこんなことを考えた。(内)