私の宝物 眼科学校医30余年
加藤 恵美子(山科)
今年も、4月末から5月末にかけて、地元の保育園・公立の小中学校(各2校)の眼科検診に出かけた。小学校は、駆け出しの研修医の頃に先輩のお供をしたのが始まりで、その後ずっと続けて30数年になる。
学校検診は、診察室で診るのとはまた違って、緊張する。手持ちスリットも眼底鏡も持参しないので、前眼部疾患や眼位異常程度しかチェックできないのだが、以前にスタージ・ウエーバー症候群を指摘できた児童もあり、早期発見に役立てれば、といつも思っている。
保育園で診ていた幼児が、小学校に上がり、中学生になり、1年ごとに成長していく。毎年視力検査で来院して手こずらされていた子が、メガネをかけた中学生になって、ニマっと笑っていたりすると、思わず「ああ、もう中学生になったんやね」と可笑しく嬉しい。
こんな出会いがあるから、春の多忙な時期の検診も、やめられない。
検診終了後、養護教諭の先生方とお話をする中で、現場でのいろいろなご苦労話を聞かせていただく。目から鱗のことも多い。学校保健委員会で、「子どもの視力」についての話をした時には、PTAのお母様や教職員の方々が熱心に聴いて下さり、(ご自身やご家族のことも含め)沢山の質問をいただいて、「来て良かった」と思った。
この30数年の間に、子どもたちを取り巻く環境もずいぶん変化した。PC・ゲーム・携帯・スマホ・iPod…などが増えるにつれ、子どもの近視の低年齢化が進んできたように思う。「安全に外遊びができる場所がない。屋内でゲームをするしかない」との母親のボヤきに絶句してしまう。
どうぞ、次代を背負う子どもたちが、健やかに育ってくれますように。