原子力発電の再稼働推進をやめよ! 「大飯」と「川内」で声明を発表
大飯原発運転差し止め判決に賛同
5月21日、福井地裁判決は大飯原発3、4号機の運転差し止めを求めた原告の訴えを全面的に認め、「原子炉を運転してはならない」とした。
「生存を基礎とする人格権が最高の価値をもつものであり、判決を下す上での指針である。この指針を踏まえ、原子力発電所の稼働は経済活動の自由に属するもので、憲法上は人格権よりも劣位におかれるべき」と断じたこの判決に対し、協会は関西電力だけでなく他の電力会社、そして国の原発に固執するエネルギー政策をも断罪したものであると高く評価。
関西電力をはじめとした電力会社、そして国においてもこの内容を真摯に受け止め、原発再稼働の断念を強く求める声明を6月6日付で発表した。
川内原発再稼働に待った!
しかし一方で、原子力規制委員会が7月16日に九州電力・川内原発1、2号機に対し、新規制基準適合とする審査書案を了承。事実上の合格判断を下した。
桜島のある姶良カルデラから100キロ圏内に位置する川内原発は「日本一危険な原発」といわれている。噴火発生時には火砕流が到達し破壊される危険性が指摘されており、九州電力は噴火の可能性を認めている。しかし、住民の避難計画は自治体任せで、審査の対象外にしている。なおかつ、鹿児島県知事が病人や老人など要援護者の避難計画について実行可能なものは作れないという主旨の発言をしており、住民からも自治体の避難計画に対する不安の声が挙がっている。
今回の川内原発の審査書案了承は、福井地裁の国民を放射性物質の危険から守るという観点からなされた指摘を無視し、安全性の担保のないまま川内原発の再稼働を可能にする無責任な判断であると言わざるを得ない。
協会は、人々の健康と生命をないがしろにする原発再稼働の動きに断固反対し、人々の生命と健康を守る医療団体の立場から、審査書案の了承撤回を強く求める声明を7月25日付で発表した。
また、原子力規制委員会は、この審査書案ついて8月15日までパブリックコメントを募集している。協会は声明と同趣旨の意見を述べ、再稼働を行わないよう求めた。