代議員月例アンケート(83)医療・介護総合確保法について  PDF

代議員月例アンケート(83)医療・介護総合確保法について

対象者=代議員92人、回答数=43(回答率=47%)
調査期間=2014年7月9日〜24日

 「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(医療・介護総合確保法)」が6月18日に成立した。同法は本来それぞれの分野ごとに徹底審議すべき重要な19もの内容を一括りにして、短期間の審議で与党のみの賛成で成立が強行された。この法律に関しての認知度について代議員にきいた。

認知度にばらつき

 認知度は、項目によってばらつきがみられる。一般紙でも比較的報道の多かった介護保険関係の項目(地域支援事業の見直し、介護保険サービス利用料2割負担化など)についての認知度は6割を超えるが、医師にとって関心が高いと思われる「医療事故調」や「特定行為」などは4割を切った。病床機能報告や新基金、臨床研究中核病院はほとんど知られておらず、10%台であった。全ての項目で「知らなかった」と答えた人が7人もおり、全て「知っている」と答えた人はいなかった。

〈個別項目〉

 (1)改定医療法において、病床機能報告制度に基づき医療機関が都道府県に届出これをもとに都道府県は「地域医療ビジョン」を策定ビジョン達成に協力しない医療機関にはペナルティも設け、構想する病床数へ収斂させようとしていることについては、8割が知らないと回答。

 (2)病床機能分化を通じ病床削減・平均在院日数短縮を進め、「受け皿」として在宅医療充実、地域包括ケアシステム構築を進めるとしていることについては6割近くが知っていると回答。

 (3)地域包括ケアシステム構築に向けた地域支援事業が見直され、市町村が主体となり地区医師会等と連携し、在宅医療・介護の連携が推進されることについては、8割近くが知っていると回答。

 (4)(3)の地域支援事業は、予防事業を市町村が行うものであり、15年4月から「要支援」の通所・訪問介護への介護保険給付(予防的な)が廃止され、段階的に事業移行さることについては、6割以上が知っている。

 (5)特別養護老人ホームへの新規入所が原則「要介護3以上」に限定(15年4月)となり、低所得の施設利用者の食費・居住費を補填する「補足給付」に資産要件が追加(15年8月)され単身で預貯金1千万円超の人は補助がなくなることについては、6割近くが知っていると答えた。

 (6)改定介護保険法において、一定所得以上の人は利用料2割負担化が15年8月から実施されることについては、6割以上が知っていると答えた。

 (7)(6)に関して国会審議中に、介護保険サービス利用料2割負担化の論拠資料に虚偽が指摘され、厚労相がそれを認め撤回、謝罪するという前代未聞の事態が生じたにもかかわらず、成立したことについては、7割以上が知らなかった。

 (8)国の方針に基づいて、都道府県の事業計画に記載した医療・介護の事業(病床の機能分化・連携、在宅医療・介護の推進等)のため、消費税増収分を活用した新たな基金が都道府県に設置されることについては、8割以上が知らなかった。

 (9)改定医療法により医療事故の原因を究明し、再発防止につなげることを目的として、医療事故調査制度を15年10月に導入することへの認知度は、4割を下回った。

 (10)改定保助看法により診療の補助のうちの「特定行為」を明確化し、それを手順書により行う看護師の研修制度が新設されることについて、認知度は4割を下回った。

 (11)「臨床研究中核病院」を医療法上に位置付け、日本発の革新的医薬品・医療機器の開発など、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担う病院とする(「患者申出療養(仮称)」など混合診療実施のための医療機関でもある)ことについても、認知度は4割を下回った。

 (12)医療法人制度に関して、持分なし医療法人への移行促進が図られたほか、医療法人社団と医療法人財団の合併が可能となり、今後の提供体制改革の主役と目される「非営利ホールディングカンパニー型法人制度」に向けた改定も行われたことについては、認知度は12%であった。

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