社保研レポート 第652回(5/31) レセプト画面審査:最近の状況  PDF

社保研レポート 第652回(5/31) レセプト画面審査:最近の状況

推進される審査事務の効率化とコスト削減 レセプト画面審査の現状とこれからを学ぶ

講師:医療法人社団 依田医院院長
京都府国民健康保険団体連合会 審査委員会会長 依田純三氏

 日常診療においてレセプトの査定頻度が多くなっていることを日々感じられることと存じます。医療も経済活動の一環に過ぎずとの考えで医療費の抑制が推進され、特に政府の“規制改革会議”の提言では審査事務の効率化とコスト削減を強く求め、国保連合会と支払基金の統合を含め、審査の機械化の推進と民間業者の参入、レセの直接審査を求めています。

 このような状況下で「レセプト画面審査:最近の状況」の演題で、京都府国民健康保険団体連合会審査委員会会長で依田医院院長の依田純三氏の講演がありました。

 提言通りに“機械的なロジック”審査が飛躍すれば境界線上の課題の多くが画一的に処理され、医学的判断は重視されず審査委員の専門性が制約されるなど様々な問題を抱えています。

 国保では介護保険など様々な業務を行っているので、審査支払を切り離した基金・国保の統合は、逆に効率性が削がれコスト増が懸念されているとのことです。

 厚生労働省の政策スケジュールは、レセプト機械判定(ロジック審査)の推進、重点審査の精緻化推進、審査業務体制の強化、医学的判断を要する項目の仕分け、一定点数以上のレセプト重点審査を目指しています。

 現在行われている審査の内容と医療サイドの対応としては、

 (1)審査事務のコンピューターチェックへの対応−診療行為・医薬品・特定機材・医薬品適応と用量、医薬品の禁忌と併用禁忌、処置と手術・検査の適応・特定保険医療材料の適応と用量など再点検する。

 (2)縦覧点検の内容−同一患者の直近の6カ月分レセ点検(3カ月に1回限度検査など)、医薬品の点検・診療行為の点検・過去審査歴、入院と入院外の照合と介護保険など。

 (3)突合点検の内容と対応−処方箋発行機関と院外薬局のレセプト照合点検(適応症、投与量、投与日数、禁忌、併用禁忌、7剤投与と処方せん料、同一日の院内外処方)。特に院外処方には病名漏れが多く、適応症を厳格に記載する。

 (4)横覧点検の内容−同一機関の「入院」と「入院外」をチェック。今後は、同一患者の複数医療機関にわたる請求内容の照合が予定されている。

 (5)単月審査の内容と対応−一次審査は医学的判断を要さない項目は全て網羅的に機械判定となる。必要なら医療の実態に即した症状詳記や注記を活用するのが良い。

 (6)重点審査の対象となりやすいレセプト−平均点数が他の医療機関に比べて異常に高い、診療内容が平均に比べて極めて濃厚、傷病名が画一的で重複的、傷病名や疑い病名が極めて多い、文書注意に対して改善がない、査定に無関心である、予防・研究目的の診療が疑われる、健康診断が疑われる、時間外・休日・同日再診が多い。

 (7)レセプト請求時の点検−レセプト病名の羅列は避け、安易な病名より注記と病状詳記を活用する、病名の転帰、初再診と外来管理加算、特定疾患療養管理料と併算定不可項目、投薬は添付文章を確認、同系列薬品投与、投与量と期間、病名漏れ、同一系列の経口薬と注射薬併用、抗生剤の多用、ビタミン剤点滴、外来患者への点滴多用、セット検査は画一を避け、網羅的でなくステップを踏むこと、注記と病状詳記の活用、返戻は必ず目を通して、疑義が有れば再審査請求をするなどが主旨でした。

(西京・濱本 康平)

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