代議員月例アンケート(82)
地域包括診療加算、在宅自己注射等について
対象者=代議員92人 回答数=44人(回答率48%)
調査期間=2014年5月23日〜6月3日
今回の改定では、診療所において算定する再診料の加算点数として、地域包括診療加算(20点)が新設された。高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症のうち二つ以上の疾患を有する全年齢の患者を対象として、療養上必要な指導、服薬管理、健康管理、介護保険に係る相談、在宅医療の提供などを行うことが算定要件とされている。当該加算を算定している場合は、処方料、処方せん料、薬剤料について7種類以上の内服薬の減算規定は適用されないという特徴がある。
また、在宅自己注射指導管理料の「2」の点数が、指示した自己注射の総回数に応じた四つに区分され、引き下げられた。
主にこの2点について、意見を訊いた。
内服薬投薬の7剤制限は無条件に撤廃すべき
診療所(40人)のうち、地域包括診療加算を「届け出た」と回答したのは13%(5人)だった。なお、近畿厚生局京都事務所によれば2014年6月4日現在、地域包括診療加算を届け出た診療所は、府内診療所数の12%(310件)である。
逆に「届け出ていない」と回答したのは診療所の85%(34人)だった。その理由で一番多いのは「往診を含めて、在宅医療を提供できない」で35%(12人)、続いて「届出を検討したが、施設基準を満たせなかった」29%(10人)、「この点数が気に入らない」9%(3人)、「患者負担が増えるため断念した」6%(2人)であった。また、「満たせなかった施設基準」の項目については、「介護保険に係る要件を満たせない」40%(4人)、「院外処方だが、24時間対応薬局が探せない」30%(3人)等となっている。
なお、対象数が少ないのであくまで参考だが、「届け出た」と回答した5人全員が、第一の理由は「再診1回につき20点の点数」であると回答した。また、算定に当たっての問題については、「患者への説明と同意を得るために苦労している」と2人が回答した。
診療所の方に「地域包括診療加算の不合理点や改善点」について質問(複数回答)したところ、一番多いのは「廃止して内服薬投薬の7剤制限は無条件に撤廃すべき」43%(17人)、続いて「廃止して再診料を引き上げるべき」40%(16人)、「届出制は煩雑なので止めてほしい」28%(11人)等となっている。
内服薬投薬の7剤制限の問題について、協会は撤廃要求を掲げて運動してきたが、地域包括診療加算、地域包括診療料を算定している場合に限り除外された。本アンケートに基づき、「内服薬投薬の7剤制限は無条件に撤廃すべき」の要求を掲げて運動して行きたい。
在宅自己注射の改悪、実態把握が必要
四つに区分された在宅自己注射指導管理料の「2」だが、「イ100点」、「ロ190」「ハ290点」の4〜6月診療分については、無条件で導入初期加算500点が加算できていた。
そのため、7月診療分以降、点数算定がどうなるかと訊いたところ、「あまり変わらない」が一番多く59%(26人)であった。次いで、「その他」25%(11人)、「大きく下がりそうだ」「下がりそうだ」が合わせて9%(4人)、「やや上がりそうだ」2%(1人)等となっている。
また、自己注射の回数別の点数設定について訊いたところ、「分からない」が一番多く50%(22人)、次いで「反対」41%(18人)、「賛成」9%(4人)であった。
「反対」と答えた方に理由を訊いた(複数回答)ところ、「指導の内容は、回数の多い・少ないにかかわらない」が一番多く83%(15人)、次いで「医学的理由が不明だ」72%(13人)、「分子標的薬の自己注射の指導管理を軽んじている」17%(3人)、「回数が少ない方が患者の負担は少ないのに報酬が少なくなるのはおかしい」11%(2人)等であった。
さらに、自己注射導入前に入院または週2回以上の医師による十分な指導が算定要件に加えられたが、これについて訊いたところ、「分からない」が一番多く48%(21人)、次いで「反対」34%(15人)、「賛成」9%(4人)であった。
「反対」と答えた方に理由を訊いた(複数回答)ところ、「週2回以上の医学的根拠が不明」が一番多く93%(14人)、次いで「1回で十分な場合がある」67%(10人)、「週1回を2回以上では何故だめなのか」33%(5人)、「患者に不要な受診を強いるものだ」33%(5人)等であった。
在宅自己注射指導管理料を算定していない代議員が多いため、「分からない」との回答が多くなってしまったようだ。実態を把握するためには、調査対象者を増やして、指導管理を行っている会員の意見が明確になるように調査する必要があると思われた。