各科の新点数で意見交換 専門医会長との懇談会開く
協会は専門医会長との懇談会を5月24日に開催。専門医会から12人、協会から6人が出席した。2014年度診療報酬改定をテーマに、協会からは改定の特徴と意義について解説を行い、各専門医会からは改定への評価と今後の対策、要望について意見を聞いた。
機能分化推進と専門医制度のこれからに大きな不安
循環器:病院では紹介率の縛りが強くなり、逆紹介の患者も増え、重症者の割合も高くなってくる。一方、診療所では包括化が進むことで診療機能が低下することを危惧している。
透析:透析関連の点数は、平均1%以上、下がっている。また、透析手技料が一律マイナス10点の減額になった上に、その中に包括化されている透析液薬価は改定に伴い引き上げられた。すでに包括化されている検査等を意図的に減らすことで収益を上げるわけにはいかないが、いつか患者さんの不利益に繋がるのではないかと懸念している。
形成外科:組織拡張器による乳房再建手術の保険適用と、局所陰圧閉鎖処置(外来)の本点数化は歓迎している。専門医制度改革では、診療報酬上で専門医間の扱いに差が付くことを心配している。
消化器:胃瘻の改定により、これまでの胃瘻を作らないと診ない、入れないということが是正されるだろう。短期滞在手術等基本料3は、対象手術や検査が病院に集中することを心配している。
泌尿器科:皮下注で行う前立腺がんのホルモン療法が、外来化学療法加算の対象から外れた。皮下注といえども太い針を使う場合もあり、一つ間違えば大出血に繋がりかねない。それが評価されないことは問題。
耳鼻咽喉科:副鼻腔の手術が整理されたことは良かった。ただ、耳鼻科はもともと処置料が低い。特に幼児の診察は苦労するが評価がない。学会から乳幼児加算を要望しているが取り合ってもらえない。
眼科:水晶体再建術1、2が短期滞在手術等基本料3に含まれ、入院して5日目までに該当手術は短期滞在手術等基本料3で算定することになった。入院5日目までに両眼の手術でも片眼の手術でも前述のマルメの点数でしか請求できず、病院としてはかなりの収入減となり困惑している状態である。水晶体再建術などは外来で手術せよという目論見であろうか?
産婦人科:帝王切開術が、手術時間が短くなったという理由で大幅に点数が引き下げられた。手術時間は様々な努力の結果短くなった訳であって理不尽極まりない。日本産婦人科医会の撤回要望も実らず非常に残念。
外科:休日・深夜・時間外の加算1の新設や評価された手術は大きな病院が対象であり、本当の地域医療を担う中小病院への配慮不足。一方で中小病院も対象となる胃瘻造設術は引き下がった。こういう汎用手術を安易に引き下げることは納得できない。
小児科:小児在宅医療が少し前進をしたが、まだまだという感がある。感染症は迅速診断キットが普及してきており、現在の小児科外来診療料では赤字になりかねない。実態に則した引き上げが必要。新たな専門医制度については、総合診療医と小児科との住み分けが不明で懸念される。
胸部:呼吸不全で認定される障害等級には2級がなく、かなり重度でないと更生医療の対象とならない。私の患者さんでも障害認定は厳しい。
また、特養の入所基準で要介護3以上という話が出ているが、そもそも要介護3以上に認定されることが難しくなってきている。これも問題である。
内科:現在の厚労省保険局医療課長は、ナーシングケアに非常に熱心。これからも、ナーシングケアとタイアップした政策を打ち出してくるだろう。介護や在宅を重視した路線がしばらくは続くのではないか。
規制改革会議が提案した選択療養は問題。安全性や有効性という医療の基本的なところがどれほど担保されるのか、非常に危惧される。
協会からは総合診療医について、専門領域を深めずに広く浅く診る医師を養成することは、医療の水準を揺るがすことになること。また、地域における各専門医数が規制され、不足分は総合診療医で代替させることが狙われており反対であることを説明。引き続き、この問題を含めて意見や提案をいただきたい旨お願いして懇談会を終了した。