コミュニケーション委員会で意見交換
地域包括診療加算をどう評価? 総合診療専門医で日本の医療どうなる?
5月17日、2013年度第2回コミュニケーション委員会を開催した。今回の委員会では、「2014年度診療報酬改定の影響について」をテーマに協会から情報提供を行った後、委員より各地区から集約していただいた意見等が報告された。地区から14人、議長、副議長、協会から4人が出席。岡田楯彦代議員会議長の司会で進められた。
委員からは、今回新設された「地域包括診療加算」について、厚労省は、地域に根ざした総合医を増やしていこうという考えでこういった点数を新設したと思うが、内容を見ると、我々がすでに日常で行っていることばかりである。点数を新設して開業医を評価したつもりだろうが、個人的には絶対に算定しない。算定要件や記載方法等で現場は非常に混乱している。しかし、我々が思い悩むのではなく、疑問点などがあればその都度、厚労省に送り付けて、現場が抱えている問題を認識させたほうがいいとの意見が出された。
その一方で、別の委員からは、地域包括診療加算の算定に求められているような内容は以前から取り組んできた。今までやってきたことが、評価されたと思い算定しているとの意見も出された。
別の委員からは、2017年から新しい専門医制度がスタートし、その中で総合診療医を専門医として位置づけるということだが、総合診療専門医の資格を持った医師と我々既存の医師との関係がどうなるのか不安である。また、総合診療専門医がゲートキーパー役を担わされることによって、自由開業医制が阻害されてしまうのではないかと心配するとの意見が出されるとともに、今後の動きなどについて質問が出された。
協会からは、具体的な制度設計はまだできていないが、既存の医師が総合診療専門医としてやっていくのは難しいのではないだろうか。従来の医師と総合診療専門医の資格を持った医師の二極分化が進み、おそらく総合診療専門医には診療報酬点数が高く設定されるのではないかと推測する。 しかし、すべての地域に総合診療専門医を配置することは難しいので、おそらく従来の開業医と総合診療専門医が混在する形で運営されるという意見もある。いずれにせよ仮に総合診療専門医が制度化されても、これまでフリーアクセスというシステムのもと日本の医療はうまく機能してきたので、このシステムを守っていく必要があると答えた。
最後に、茨木和博副議長が、今後の総合診療専門医の動向が気になる。イギリスのように、まずはかかりつけ医を受診しないと専門医を受診できないという状態だけは避けたい。日本では、もっと緩やかな制度で運用するのが望ましい。今後も引き続き日本の医療制度のあり方について、しっかりと考えていかなければいけないと述べた。