受診時定額負担ふたたび 医療費抑制で財務省案
財務省は3月28日、財政制度等審議会の「財政制度分科会」を開催し、医療制度改革をテーマに議論を行った。財務省主計局からは「社会保障制度改革の基本的方向性」という資料に基づき、医療費等抑制に向けた考え方が示された。
財務省の考える改革案は、給付面では▽公的給付範囲の見直し▽医療等提供体制の効率化▽診療報酬・介護報酬の抑制と抜本的見直し▽保険者機能の発揮・強化—の4点。負担面では▽負担能力に応じた負担▽支え手の増加▽社会保障公費負担と消費税収の差額の解消—の3点。
具体的(別表)には、2011年の一体改革で検討され医療界の強い反対意見により見送られた「受診時定額負担」や先発医薬品の参照価格制度によるジェネリック推進、保険外併用療養の対象拡大などが検討課題としてあげられている。このうち保険外併用療養については、評価療養の費用対効果を厳しく検証することや、いったん保険適用とされた医療技術等についても費用対効果が低いものは保険適用から外し保険外併用療養の対象とする「逆評価療養」という考えも示された。
診療報酬については、今後とも徹底して抑制することや、過度な政策誘導は避け、より包括的で簡素・透明かつ安定的な仕組みとなるよう体系的見直しを進めるとともに、客観的なデータを活用した合理的な水準に改定していく必要が示された。
財務省資料から検討課題を抜粋
○高額療養費制度における外来特例の廃止
○受診時定額負担の導入
○大病院の外来患者負担引き上げ
○参照価格制度によるジェネリック推進
○市販類似薬品の更なる保険適用除外
○保険外併用療養の対象拡大
(費用対効果の低い医療技術の保険外し等)
○柔道整復に係る保険適用の厳格化
○終末期医療の適正化
○診療報酬等は今後とも徹底して抑制
○診療報酬等は「過度な政策誘導は避け、より包括的で簡素・透明かつ安定的な仕組みとなるよう体系的見直しを進めるとともに、客観的なデータを活用した合理的な水準に改定」
○市町村国保・後期高齢者医療における医療費適正化への重点的取り組み
○被用者保険においてメタボ健診実施率に応じて加算減算をしているが、今後は「医療費の効率化の度合い」に基づくものとしていく必要
○被用者保険側が後期高齢者医療の運営に参画する仕組み
○電子レセプト活用による審査基準の標準化・厳格化し、重複頻回受診や問題事例の抽出をよりシステマティックに行えるようにする