日本経済新聞社 編集局長様 「医療機関に手厚く 診療報酬改定案」報道に抗議  PDF

日本経済新聞社 編集局長様 「医療機関に手厚く 診療報酬改定案」報道に抗議

正確性欠き医療不信招くことから訂正を求める

 (前段略)2月5日発行の貴紙「医療機関に手厚く 診療報酬改定案」の記事について、正確性を欠くため読者の誤解を招き、患者の医療不信につながりかねないことから抗議するとともに、正しい理解に基づいた訂正報道を要望いたします。

 記事は見出しで「増税分超す上乗せ」と打ち出し、初診料が現行2700円から2820円に4.4%上がるとして消費税率の上げ幅3%を上回るとしています。そして「増税幅を上回る引き上げを平然と求める医療関係者の感覚の鈍さは否めない」と決めつけ、その結果、保険料や窓口負担が増えると結んでいます。

 まず、初診料の上げ幅が消費税の「3%を超える」というのは、健保連など支払い側が中医協で引き上げ反対理由の一つに挙げたものですが、初診料だけを比較して論じること自体に意味はありません。消費増税により医療機関が被る負担増は2600億円と試算され、それを初再診料等で補填することが中医協で決定されました。初再診料の入院外医療費に占める比率は16.3%(2011年度社会医療診療行為別調査結果)とされています。16.3%の初再診料が4.4%上がることで消費税増税分の3%が補填できるものではないことは明らかです。

 さらに、今回の診療報酬改定率はわずか0.1%であるため、消費税補填1.36%を差し引いたマイナス1.26%が実質の改定率となります。医療崩壊といわれる情況にあって、地域医療を絶やさないために努力をしてきた医療現場に報いるには、過酷な仕打ちといえるものです。そうした実情に触れずに「医療機関に手厚く」とは、あまりに理解のない一方的な見方といわざるをえません。

 また、診療側は、中医協の場でも消費増税の対応を診療報酬で行うことはそもそも矛盾を孕んでいることと主張しており、私たちは「ゼロ税率」など患者負担や保険料負担を増やさない形での損税解消を求めてきています。医療関係者が引き上げを求めて国民負担が増えるようになったかのような書きぶりは、医療関係者を一方的に悪者と決め付け、意図的に患者と医療機関を分断するもので看過できません。

 貴社におかれては、医療機関と消費税の関係、医療現場のおかれている情況など正確な理解と誤解の生じない報道姿勢と訂正を重ねて要望します。

2014年2月21日
京都府保険医協会 理事長 垣田さち子

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