下京西部医師会と懇談
1月31日 下京西部医師会事務所
地域医療取り巻く環境を憂慮
協会は下京西部医師会との懇談会を1月31日、開催した。下京西部医師会から15人、協会から7人が参加した。懇談会は下京西部医師会の秦敬和庶務担当理事の司会で開会。同会の山下琢会長と協会の垣田理事長のあいさつの後、協会から情報提供を行い、自由闊達な意見交換を行った。
まず診療報酬改定について地区から、有床診療所の管理栄養士の配置について質問があり、協会は有床診療所の管理栄養士の配置義務はなくなり、配置された場合は加算となる。入院基本料が3段階から6段階へと変わるので施設基準の変更内容を注視していただきたい。地域包括ケアに貢献できる診療所など有床診療所でもいくつかの分類に分かれ、点数算定の内容が複雑になると回答した。さらに地区から、地域包括診療料などは算定要件が難しい。地域で亡くなる人が増加していく中、施設基準を取った限られた医師に大変な責任が負わされ、かえって地域医療の崩壊につながるのではないかと指摘があった。協会は、地域包括診療料は指摘の通りであり、患者にとっても不幸な結果となりかねない。現在、在宅診療をされている先生も体力的、経済的に厳しくなり在宅診療ができなくなるのではと問題視していると回答した。
社会保障制度改革について地区から、医療・介護サービス提供体制の改革で都道府県を保険者にすると、ますます地域格差が生じると問題点が指摘された。協会からも国が給付抑制の方向で財政的支援をしなくなるとますます格差が生じるとして、国の目指している方向が間違っている。また4月の消費税増税までの政府の動きも注視していく必要があると回答した。
続いて医療版事故調についての協会の基本的な考え方について質問があり、医師団体では身内だと指摘される懸念があり、大学などによる第三者機関を作った方がいいのかもしれないと回答した。また地区からは調査の費用面がかなり曖昧で、原因究明のための調査にかかる費用を補填する保険を作ってもらった方が早いのではないかとの意見が出された。協会からは予算・陣容など全く内容が決まっていない。その中で法律だけ通そうとしている。状況を注視しながら会員へ周知したいと回答した。
最後に原発について、地区から原発廃止について異議はないが、即時廃止についてどう考えているのかとの質問があった。協会からは現時点で、一基も原発は稼働していない。日本経済に悪影響が出るという指摘があるが原発を稼働させたい側の主張で、即時廃止は間違っていないと述べた。さらに地区からは、福島で子どもたちの甲状腺がんが多数見つかっており、放射線の影響がはっきりあると言えないのか、との質問が出された。協会は、福島の原発事故と甲状腺がんの多発ということを、医学的統計で結論を出すには、およそ30〜50年かかるといわれている。今年8月に甲状腺評価委員会が一定の評価を出すことになっているので注目していると回答した。
終了にあたり下京西部医師会の岡林秀興副会長から閉会のあいさつがあった。