実質マイナス1・26% 改定率で緊急談話を発表  PDF

実質マイナス1・26% 改定率で緊急談話を発表

地域医療守る開業医の外来機能を評価し14年度改定率の引き上げを求める

 診療報酬の2014年度改定率について、2013年12月20日、田村憲久厚生労働大臣と麻生太郎財務大臣が合意した。消費税増税の補填分は厚生労働省主張の1・36%(本体0・63%、薬価・材料0・73%)を確保したものの、これを除いた本体改定率は0・1%、医療費ベースで400億円の微増に止まった。また、消費税増税の補填分を除いて、薬価・材料価格はマイナス1・36%のため、ネットでの改定率はマイナス1・26%となった。

 財務省の本体マイナスの主張は実現されなかったものの、0・1%という引き上げでは、再び地域医療の崩壊を招いてしまう。

 薬価・材料価格の引き下げにより生じた財源については、財務省は「2014年度予算の編成等に関する建議」の中で、「そのような財源があるとする考え自体がフィクションに過ぎない」「診療報酬本体部分に流用することに合理性がない」と記載した。だが、患者の移動や金銭的負担を考慮して院内処方を続けている開業医にとって、管理・損耗の費用を捻出するために行う地道な価格交渉を始め、診療側の経営努力により実勢価格が抑制されていることをあざ笑うかのような評価は許しがたい。別途措置を講ずるとされた後発医薬品の価格設定の見直し分を含めて、薬価・材料価格の引き下げにより生じた財源は、全て本体改定に投入すべきである。

 また、中医協では、医療機関等における消費税負担に関する分科会中間整理(2013年9月25日)を基に議論され、「基本診療料への上乗せによる対応を中心としつつ、個別項目への上乗せを組み合わせる形で対応する」ことで合意されているが、「診察にあたって、基本的な医療の提供に必要な人的、物的コスト」を含んでいる基本診療料への上乗せを十分行うべきである。そして、2015年10月に10%に引き上げる場合には、医療におけるゼロ税率を導入して、医療機関における消費税負担の問題を根本的に解決すべきである。

 さらに、消費税増収分から7対1入院基本料算定病床の要件厳格化に伴い、受け皿となる病床に移行させるための経過措置分として200億円、2025年に向けた医療・介護サービス提供体制について都道府県が作成する整備計画等に対する財政支援制度(基金)として904億円が見込まれている。しかし、これは結局、中医協のような現場の実態と要求に基づいた検討の結論ではなく、国の政策を進めるため国の裁量により配分される財源である。社会保障・税一体改革大綱、社会保障制度改革国民会議報告書に基づく、フリーアクセスの否定、給付抑制を目的とした医療提供体制改革の実現のための費用であり、目的も方法も受け入れることはできない。

 初診患者、急患外来への適切な対応、各専門科の高度な技術の提供により質の高い地域医療を守っている開業保険医の医療を適切に評価することこそが、国民医療を守る最後の砦である。2014年度診療報酬改定では、ここにこそ更なる上乗せを行うべきだ。財務省は患者負担増を理由に引き上げを抑制したが、我々は患者の受診を阻害している高い自己負担率、高額療養費の自己負担限度額の抑制を求めており、併せて改善すべきだ。

 そして、最後に、消費税増税分の補填による上乗せが、医療機関の儲けになるかのような、誤った印象を与える報道各社の姿勢について、正しい対応を求めたい。

2013年12月26日
理事長 垣田さち子

2014年度診療報酬改定の概要

改 定 率

本体プラス 0.1%
薬価等引き下げ分 ▲1.36%
実 質 ▲1.26%
ただし、消費増税対応分 +1.36%
名 目 +0.1% 

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