代議員月例アンケート(78)  PDF

 代議員月例アンケート(78)

外来包括点数の評価について

対象者=代議員92人 回答数=34(回答率37%)
調査期間=2013年12月10日〜24日

 4月の診療報酬改定にむけて中医協等での議論が進んでいる。その柱の一つが「外来医療の機能分化」であり、それを進めるための方策の一つが「主治医機能の強化」だ。この「主治医機能の強化」の論点は、1診療所・中小病院を対象とし、年齢区分はせず複数の慢性疾患や認知症を有する患者を対象とする2一元的な服薬管理を行う3相談や健診・検診の受診勧奨を含めた健康管理4介護保険のサービス利用にあたって主治医としての役割を担う5在宅を含めて24時間対応を行う—というもので、これらを全体的に評価する包括点数の導入が考えられている。このように、全人的な医療を評価しようとするもので、これまでの包括点数とは狙いが違うことがうかがえる。2025年の医療制度を見据えたとき必ず議論になるであろう、新しく始まる総合診療専門医の位置付けや、フリーアクセスと自由開業医制のあり方、人頭払い制の是非といった、皆保険制度のあり方そのものと直接関係する点数となっていく可能性も考えられる。

 こうした外来包括点数導入の動きについて、代議員の意見を聞いた。

導入に反対が6割超

 新たな外来の包括点数導入の是非ついては、61・8%が反対、32・4%がどちらともいえない、賛成、その他が各2・9%であった(図1)。まだ点数の詳細が分からないので、どちらともいえないとの回答も一定あるが、それ以外ではほとんどが反対であった。

図1 外来包括点数の導入

出来高算定が原則

 導入に反対する理由は、(1)出来高で算定するのが原則(2)あらためて包括点数で評価をする必要はない(3)対応できる医療機関が限られそう(4)主治医が1人に限られそう—の順で多かった(図2)。これまで、主治医機能に関連するいくつかの包括点数が導入されては廃止されてきた経過もあり、出来高ではなく包括点数を導入しなければならない理由がそもそも見当たらないという結果である。

図2 反対の理由(複数回答)

2025年に向けた懸念多し

 2025年に向けた医療制度改革との関連で懸念することでは、(1)フリーアクセスが制限される(2)総合診療専門医でなければ「主治医」になれない(3)人頭払いへの道を開くことになる(4)自由開業医制の制限㈭主治医の役割がゲートキーパー機能に限定される—の順に多く、特に懸念はないとの回答は無かった(図3)。包括点数導入に反対の回答者のみならず、どちらともいえない、賛成の回答者をふくむ多くの回答者が何らかの懸念があると回答した。

図3 2025年への懸念(複数回答)

 主治医機能を評価する点数については、すでに厚労官僚から「複数の医療機関では算定できない仕組みに」すると発言もなされており、もっとも回答が多かったフリーアクセスの制限につながっていく可能性は、次回改定で現実のものとなる可能性もある。

 協会は、この結果に基づいて「主治医機能強化に包括評価を導入しないことを求める要望書」を1月17日に厚労大臣に提出した。今後も引き続き改定の推移を注視していきたい。

 
 
 

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