日本の「優しさ」 原点は福祉・医療制度に
理事長 垣田さち子
明けましておめでとうございます。
安倍政権が発足し二年目の春を迎えました。
アベノミクス「三本の矢」の掛け声と共に勇ましく出発したものの国民生活は良くなっているのでしょうか。一部の富裕層には大歓迎のようですが、私たち京都の府民にとってはますます日々の生活の厳しさが増す新年のようです。
特に、年末に強行採決された「特定秘密保護法」は、政権支持率を急低下させました。民主主義国家として着実に歩みを進めてきたこの国のありように逆行するような法律を、十分な議論もせずに強引に成立させてしまった現政権の危うさに怒りを通り越して、薄気味悪い怖さを覚えます。
今の国会状況を見て、改めて日本国憲法前文を思い起こしました。「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」
一方で2020年のオリンピック、パラリンピックの日本開催が決まりました。決め手になったのは、国としての安定性。「おもてなし」のことばが示す日本人の優しい心への期待であったと聞いています。
日本は世界に誇る長寿の国です。傷ついた人、病んだ人、老いた人を大切にする優しい心が福祉の諸施策をつくってきました。世界がいま直面している老、病、死の問題に正面から取り組んで来た日本の心が注目されているのです。中でも国民皆保険制度は大きな宝です。
安倍政権が押し進めようとする政治は、日本人の優しい心を大切にしているでしょうか。 TPP参加が及ぼす国民生活への影響など、もっともっと明日のこととして、真摯に議論されなければなりません。
今年は診療報酬改定の年にあたりますが、医療の質を決める診療報酬決定については、現場に即した責任ある議論がなされることを望みます。私たち地域医療を担う医師の声を届けなければなりません。
国民生活の安心・安全は、いつでも、どこでも、誰でも十分な医療が受けられるという保障があってこそ守られています。世界が注目する日本人の優しい心を育む根っこに、私たち医療者の献身的な努力があることを誇りにしたいと思います。
本年が会員のみなさまにとって、幸多き明るい一年でありますよう祈念致します。
私たち、理事者・事務局一同、力を合わせてがんばりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。