伏見医師会と懇談
10月16日 伏見医師会館
患者や家族にとっての幸せな最期とは
協会は10月16日、伏見医師会との懇談会を開催した。出席は地区から11人、協会7人で、司会は伏見医師会・松本恒司副会長が務めた。冒頭、吉田昭和会長から、「都市部を直撃した台風26号は、ニュースでも大きく取り上げられた一方で、京都の福知山をはじめとして甚大な被害が出た台風18号は、それほど大きく報道されなかった。都市部は、地方での出来事には関心が薄いことの表れであり、それは医療も同じだ。すべては中央(都市部)を中心として構想され、決定されていく。もっと地方や現場の声に耳を傾けてほしい」と挨拶された。
意見交換では、厚労省の政策である「入院から在宅へ」の誘導に関して、地区から「在宅医療は、医療従事者はもちろん、介護する家族の協力や努力がなければ成り立たないことを忘れてはならない。本当に患者や家族にとって幸せなのか。また、本当に入院よりも在宅医療にシフトするほうが医療費の抑制になるのだろうか」と疑問視する意見が出された。これに対して協会から、「最期を迎える場所については、自宅、介護施設、医療機関など患者の希望はさまざまであると思うが、医療費抑制だけに着目して在宅へ誘導するという発想が間違っている」と指摘。また、外来診療をしない、在宅医療に特化した医療機関の認可が検討されていることについて触れ、「本来開業医は、院内に設置している必要な医療機器を使用するなどして、患者に対して責任ある診察をしていくべきである。電話一本だけの医療機関ができるようになれば、開業医のあり方も変容していくだろう」と言及した。
地区からは、「特養やサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)などの介護施設を充実させるのはどうか」との提案もあった。その理由を「同世代の仲間がいるので寂しくなく、スタッフも常駐して安心である。また、施設をもっと街中に建てることで、家族も訪問しやすく、患者も外出しやすくなる」と補足した。協会からは、サ高住の介護施設において、集中的に患者を紹介し、手数料を取るなどの悪質な民間業者もいることを紹介し、「医療や介護がビジネス化しており、協会だけでなく中医協でもこの点を注視している」とした。その上で、「ただし、真面目に診療している医師もいるので、介護施設等への訪問診療の点数を下げればいいという一足飛びの話にはならず、慎重に対応すべき」との見解を示した。
その他、次回診療報酬改定や、消費税の増税など、時宜を得た話題について意見交換した。