談話 第46回衆議院総選挙結果に関して
第46回衆議院総選挙の結果、自由民主党が294議席、公明党が31議席を占め、過半数を獲得して政権に返り咲いた。今回の選挙結果は、私たち医療者にとってどのような意味を持つのか。
1票に託された国民の思いは、民主党政権の3年3カ月に対する評価である。
かつて国民は、構造改革のもたらした生活困窮と社会荒廃からこれを拒否し、政権交代を実現した。しかし、政権奪取からほどなくして、民主党は構造改革推進に戻ってしまった。政権末期、野田内閣は自らの党を分裂させてまで消費税増税を強行した。国民多数の声となった「原発ゼロ」にさえ正面から応えない。TPP交渉参加にも意欲をみせた。もはや、民主党は、政権交代時の国民に応え得る存在ではなくなっていた。
自民党圧勝という選挙結果は、同党に対する支持・期待の表れではない。あくまで民主党政権への厳しい評価によってもたらされたものといえるだろう。
また、圧勝の要因には選挙制度もある。自民党は43%の支持で79%の勝率という。これでは正確に民意を反映しているとは言い難い。投票率は59・32%と戦後最低を記録した。これは、自民・民主も拒否したい国民が、新政党の乱立によって投票先を見極められなかったのではないか。
2012年12月26日、第2次安倍内閣が発足した。
医療・社会保障分野では、先の「3党合意」と社会保障制度改革推進法成立で「国民会議」が始動する等、既に布石が打たれている状況である。また、国民皆保険を破壊するTPP交渉参加についても、自民党幹部から参加容認論が飛び出す等、危険な事態が進行している。
また、安倍内閣は経済財政諮問会議の再開を打ち出し、さらなる構造改革路線を突き進もうとしている。同時に、憲法改正や国防軍の設置等、タカ派色を強めている。維新の会の台頭とも相まって、憲法改正論議も政治課題にあがる可能性も高い。
しかし、先に述べたとおり、国民が示したのは旧民主党政権への批判であり、自民党への支持・期待ではない。ありとあらゆる政策への白紙委任がなされたわけではないことを自民党とその同調者たる公明党は肝に銘ずるべきである。
協会は、新たな政治状況においても、何よりも国民皆保険制度を守り、発展させる提言や要請活動を、現場医療者の立場からより一層強化したい。また、この国に暮らすすべての人たちが社会保障で幸せになれる国の姿を展望し、その実現へ向けた取り組みを、一層すすめていく所存である。
2013年1月20日
京都府保険医協会
理事長 関 浩