京都と大阪で経験交流 患者トラブルで事例学習会  PDF

京都と大阪で経験交流 患者トラブルで事例学習会

 協会の医療安全対策部会は、「患者トラブルの現状と大阪府保険医協会の対処法」と題して、年400件以上の医療機関トラブルの相談に乗り「なにわのトラブルバスター」の異名をもつ大阪府保険医協会組織管理次長の尾内康彦氏を講師に迎えて、12月20日に学習会を開催した。出席は13人。

 尾内氏は、会員医療機関のトラブル相談20年の実績から、最近日経BP社から『患者トラブルを解決する「技術」』を出版し、各地で活発に講演を行っている。京都協会でも医療安全対策は50年以上の実績を持ち、冊子「医療安全対策の心得」や研修用DVDを作成しており、学習会では相互の経験等で交流を深めた。

 当日は多岐にわたる内容であったが、特にクレーム対応の基本として、▽患者・家族の気持ちを思いやる▽不快感を与えたことや迷惑をかけたことに対しては、誠実に謝罪する▽クレーム・苦情を事実確認から見分ける▽患者側の一方的な主張だけで判断しない▽患者の被害状況や医療機関側の過失有無を検討する▽対応初期に賠償責任を認めない▽過失に対する謝罪は事実関係を確認の上で行う▽苦情に対しては、確認・調査責任は認めるが、相手の一方的な非難内容を事実として認めたり、過度な期待を持たせるような言動はしない▽他の職員に対する非難や責任転嫁は絶対しない▽応対日時、相手の氏名、応対内容等詳細な記録をとる▽怒りをエスカレートさせる行為は厳禁▽議論をしない▽苦情であっても、不誠実な対応でクレームに発展する可能性が高くなる▽警察に動いてもらいやすいように持っていくことがコツ と解説。

 さらに、▽応対場所を選ぶ▽孤立しない場所で、相手との距離、角度にも注意▽過失の有無で多少異なるが、原則、相手の自宅や会社に呼び出されても応じない▽湯茶接待は凶器となるのでしない▽灰皿、花瓶も凶器となるので置かない▽対話法を学ぶ▽最初の数分間は原則反論しない▽相手の要件を明確にさせる▽多弁は禁物▽拒否の場合は特に意思表示を明確にする▽「検討します。相談します」という言葉は余計な期待感を抱かせるから禁物▽相手の挑発に乗らない▽こちらも挑発しない▽官庁・マスコミへの告発・タレこみなどの脅しに屈しない▽多くの場合はハッタリ▽「どうぞ、どうぞ」といなしてほしい▽相手の要求には即答しない▽自分自身や職員の「身を守る」ことが最も大切▽一人で何とかなると過信しない▽診療所でも組織的対応が肝心▽「患者の質的変化」を受け止めた対応 がポイントと話した。

 その後、活発に質疑応答を行い有意義な学習会となった。

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